2017 Fiscal Year Research-status Report
メンター機能を活用した自閉症幼児の家族への早期支援プログラムの開発と効果評価
Project/Area Number |
16K04860
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
柳澤 亜希子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, インクルーシブ教育システム推進センター, 主任研究員 (10435282)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉症 / メンター / 幼児期 / 家族支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症児・者の家族への支援としては、家族が抱える悩みや不安等への相談活動といった心理面への支援と、自閉症の障害特性に関する理解や関わり方の教授、地域資源に関する情報提供が挙げられる。厚生労働省(平成20年)は、支援・相談機関の職員の自閉症を含む発達障害に関する専門性の向上と自閉症等の発達障害の支援に携わる人材育成を課題に挙げ、人材育成の観点から平成22年度より発達障害者支援体制整備事業の一環として、地域での当事者同士の支え合いを目的としたペアレントメンター養成事業に着手した。ペアレントメンターによる支援では、同様の経験や悩みをもつ家族が悩みを聞き、地域資源について情報提供を行う。この当事者による支援は、家族に必要な情報へのアクセスを促し、家族の孤独感を軽減するのに有効とされている。当事者による支援は、これまで親の会を中心に進められてきた。近年、教育現場では、就学先の決定に向けた早期支援・相談の一環として先輩保護者の経験から学ぶ機会を設定する(文部科学省初等中等教育局,平成25年)ことが求められており、当事者による支援の活用が期待されている。 自閉症のある幼児の保護者への支援を進めていく際には、障害特性だけでなく個々の子育てや家庭生活に直結する情報提供、保護者が自閉症のある我が子の行動の意味や関わり方を考えることができる、すなわち、保護者の主体性を育むことが重要である。保護者の主体性を促すためには、保護者同士の学び合いや交流が肯定的な影響をもたらす。 以上を踏まえて、本研究では、メンターとして活躍している自閉症児・者の保護者への聞き取り調査と自閉症幼児を養育している保護者支援の実践を通して、自閉症のある幼児とその家族(主に保護者)への支援の充実に向けて、当事者同士の支え合いや学び合い(メンター機能)を活用した「早期家族支援プログラム」を開発し、その効果を検証することを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、調査の依頼を予定していた保護者団体の代表が変わったことで、あらためて新規代表者と信頼関係を築くことが必要となり、そのための時間を要した。また、所属機関の業務で携わっていた研究が最終年度であり、研究のまとめを行わなければならなかったこと、さらに、その研究で定期的に研究協力先を訪問し、データ収集を行う必要があったが、担当していたメンバーが不在になったことで研究代表としてその担当を代行しなければいけなくなった。これらの理由により、業務上の研究に多くのエフォートを費やさなければならなくなり、本研究の進捗が滞ってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
調査の依頼を予定している保護者団体の代表とは、本研究の趣旨の説明や学会でのシンポジウムに協力していただくことを通して関係を築くことができ、本研究への協力について同意を得ることができた。このため、次年度からはその代表を通じて、聞き取り調査の協力者を募り調査を進めていく。あわせて、メンタープログラムの取組を進めている他団体で研究協力を依頼したい候補先があるため、引き続き研究協力の要請を行う。また、「早期家族支援プログラム」の開発と効果の検証に協力いただくことが可能であると内諾をいただいている学校には正式に依頼を行い、こちらも併行して進めていく。
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Causes of Carryover |
調査依頼を予定していた団体の代表者の変更と所属機関の業務研究において想定しなかった事態(メンバーの不在に伴う担当の代行)により、本研究にエフォートを費やす事が困難となった。実施予定であった聞き取り調査に要する旅費及び協力者への謝金、研究協力機関でのデータ収集に要する旅費と研究打ち合わせに係る協力者の旅費及び謝金、また、次年度の研究を円滑に遂行するために収集したデータ集計を業者に委託する費用として持ち越して使用する。
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Research Products
(2 results)