2019 Fiscal Year Research-status Report
メンター機能を活用した自閉症幼児の家族への早期支援プログラムの開発と効果評価
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16K04860
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
柳澤 亜希子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, インクルーシブ教育システム推進センター, 主任研究員 (10435282)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自閉症 / ペアレント・メンター / 家族支援 / 幼児期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、障害のある子どもを養育している保護者であるペアレント・メンター(以下、メンターと記す)が、同じ立場の保護者の相談に応じる活動を通じて、どのような悩みを抱えているのか、また、本活動による自身の成長や変化、今後必要と考える支援や希望する研修内容等について明らかにするために、メンター事業を展開している都道府県・指定都市のメンターを対象に引き続き聞き取り調査を行った。 本調査の結果、メンターは現在の研修内容に対して一定の満足感を示していたが、「地域のメンター活動について知りたい」「メンター同士で活動の様子を共有したい」「メンター同士の交流の機会を設定してほしい」といったように、メンター同士の交流を求めていることが明らかとなった。このようなメンターの前向きな姿勢は、メンター活動の活性化につながると考えられた。 その一方で、メンターの居住地や地域特性による交通の利便性の問題により研修会場までの移動に要する時間の確保の難しさから、自身も障害のある子どもを子育てしているメンターが、継続的に研修に参加することが困難な状況にあることが明らかとなった。さらに、持続的なメンター活動には、相談に応じるメンターの心理的な安定は不可欠であり、メンター自身も障害のある子どもを養育する親という認識に立てば、相談支援活動でストレスや負担感を増幅させないようにすることが重要となる。本調査では、メンターは個々人なりの方法でストレス発散やリフレッシュを行っていることが明らかとなった。しかし、メンター個人の対処に任せるのではなく、本事業を担う一員としてメンターのストレス状況を定期的にチェックしケアすることが、メンターの継続的な相談支援活動を支えるために必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
聞き取り調査で得られた14地域の計106名分のデータについては、地域ごとに分析を行い、結果をまとめているところである。研究協力の窓口になっていただいた機関と調査に協力いただいたメンターに調査結果を還元するために報告書を作成している。現在、半数の地域の調査報告書の作成が完了したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
地域ごとのデータ分析と調査報告書の作成が完了した後は、調査対象者全体の結果について詳細な分析を行い、研究論文としてまとめ、今年度中に学会誌に投稿する予定である。今年度は最終年度であるため、研究成果の発信と還元に努める。
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Causes of Carryover |
2018年10月~2019年5月にかけて、ペアレント・メンター活動を行っている保護者を対象に聞き取り調査を行った。当初の予定よりも多くの保護者から聞き取りを行うことができた。しかし、収集したデータのテープ起こし作業に多くの時間を要した。非常に貴重なデータを得ることができたため、詳細な分析を行い、研究論文にまとめ、学会で発表する。また、聞き取り調査に協力いただいた各地域のメンター(保護者)に対して、わかりやすい形で調査結果をまとめ、研究成果を還元する。
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Research Products
(1 results)