2017 Fiscal Year Research-status Report
水ー脂質膜ー油バイオ界面のモデル創生と界面ナノ特性の解明
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16K04869
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
片岡 知歩 (浜井知歩) 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (70443009)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水―油界面 / 脂質単分子膜 / 表面分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
水―油界面に存在する生体膜に関して、生物学的研究は多数行われているが、物理化学的研究はほとんど進展していない。そのため、水ー油界面での脂質単分子膜の振る舞いや膜―タンパク質相互作用などの基本的事象が解明されていない。そこで平成28年度に、界面の性質を研究するために必要なモデル界面を基板表面上に作製する手法を開発した。平成29年度は、このモデル界面にベシクルを吸着させ脂質単分子膜を形成した後、拡散定数を測定し、拡散定数と油の粘度との相関を調べた。その結果、ある種の油のグループでは、油の種類によらず拡散と粘度の関係が一致した。一方、これらとは別の種類の油のグループでは全く異なる挙動が見られることが明らかとなった。 しかし、界面に吸着した脂質膜の構造を詳細に明らかにすることが困難であったため、拡散と粘度との相関を説明する物理モデルを構築することができなかった。そこで、ペンダントドロップ式界面張力計等を導入し、水―油界面での脂質構造を理解する研究を行っている。この実験では、水溶液中のベシクルではなく油中の脂質ミセルを用いて界面に単分子膜を形成する。油中の臨界ミセル濃度を決定することができれば、この濃度では脂質一分子の占有面積を計算することができ、膜の構造を決定することができる。臨界ミセル濃度を決定するためには、油中の脂質集合体の構造を理解する必要があるが、これまでほとんど研究がなされていないため、構造を予測することができない。そこで本研究では、界面の単分子膜の構造に加え、油中での脂質構造の研究も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度以降、本研究で開発した水―脂質膜―油界面モデルを利用し、ストレプトアビジン単分子の拡散を追跡することによって、拡散定数と油の粘度との相関を解明することを予定していた。拡散定数と粘度との関係を調べることはできたが、脂質単分子膜の構造を詳細に解明することが困難であったため、拡散と粘度の相関を説明する物理的背景を理解することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ペンダントドロップ式界面張力計、蛍光顕微鏡、動的光散乱法、X線小角散乱法等を用いて、油中および水―油界面に存在する脂質分子の集合体の構造を明らかにする。油中の脂質の臨界ミセル濃度を決定することができれば、臨界ミセル濃度では脂質単分子膜中の一分子占有面積を見積もることができる。従って、臨界ミセル濃度に限定すれば単分子膜の構造を知ることができる。
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Causes of Carryover |
平成29年度は主に蛍光顕微鏡測定を行ったが、顕微鏡観察での試薬の必要量は少量であるため、試薬やその他消耗品を購入する必要がなかった。そのため次年度使用額が生じた。平成30年度には界面張力測定、動的光散乱測定、X線小角散乱測定等を予定しており、これらの実験には試薬やその他消耗品を多く必要とするため、試薬等の購入に次年度使用額を使用する予定である。
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