2017 Fiscal Year Research-status Report
第一原理手法による異常量子輸送を活用した熱電変換ナノ物質デザイン
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16K04875
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石井 史之 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (20432122)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 異常ネルンスト効果 / ゼーベック効果 / 異常ホール効果 / トポロジカル不変量 / Chern絶縁体 / Chern数 / トポロジカル絶縁体 / 熱電材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子状態のトポロジーに起因した異常熱電係数を解析する第一原理計算プログラムの開発・整備をおこない,主に(i) スキルミオン結晶(SkX)の現実的なモデル,(ii) 室温強磁性体であるハーフホイスラー合金系についての研究をすすめた。(i)については,EuOの単層模型の電子状態,異常ホール係数,異常ネルンスト係数,バンドのChern数の第一原理計算をおこなった。その結果,電子ドーピングをおこなうと,Chern絶縁体相が生じること,大きな異常ネルンスト効果が生じることが明らかになった。この成果は,論文にまとめ投稿した(Y.P. Mizuta, H. Sawahata, and F. Ishii, arXiv:1803.08148.) (ii)については,ゼーベック係数が大きな熱電材料として注目されている,ハーフホイスラー合金CoTiSbのTiサイトが異なる遷移金属であるCoMSb(M=Sc, Ti, V, Cr, Mn)の,ゼーベック係数,電子状態,磁気的安定性について,第一原理計算によって系統的に調べた。室温の強磁性体であるCoMnSbは,報告されている全ての物質の異常ネルンスト効果の最大値~1muV/K程度の大きな値を示す可能性があることが明らかになった。この成果は論文にまとめ投稿した(S. Minami, F. Ishii, Y.P. Mizuta, and M. Saito, arXiv:1804.00297). 以上に加えて,低い熱伝導率が期待されるビスマス2原子層のZ2絶縁体について,電場下で適用可能なZ2不変量の第一計算プログラムを開発し,詳しいトポロジカル相の解析をおこなった。この成果は論文にまとめられ,出版された(H. Sawahata, N. Yamaguchi, H. Kotaka, and F. Ishii, Jpn. J. App. Phys., 57, 030309 (2018). )
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スキルミオン結晶の異常ネルンスト効果を見積もる,現実的な系へ適用する研究が進んでおり,順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
スキルミオン結晶の大規模計算をおこなう。また,トポロジカル不変量の実空間における局所解析をおこなう第一原理計算プログラムの開発をおこなう。幅広い物質系について,異常ネルンスト効果の大きな物質の探索・デザインをおこなう。
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Causes of Carryover |
小型計算機の購入計画変更のため。
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Research Products
(26 results)