2017 Fiscal Year Research-status Report
バブルを利用した核粒子フリー金属中空微粒子の作製技術の開発
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16K04887
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
酒井 俊郎 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (30468706)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 金中空微粒子 / PEO-PPOブロックブロックコポリマー / 金ナノ粒子 / 自己形成 / 塩化金イオン還元 / 空気バブル / バブル安定性 / フッ素系界面活性剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
水中でのバブルの形成と安定化にフッ素系界面活性剤が有効であることが明らかとなった。そこで、水中で金属イオン還元能を発現するポリエチレンオキシドーポリプロピレンオキシド(PEO-PPO)ブロックコポリマーとフッ素系界面活性剤を組み合わせることにより、水中で形成した空気バブルの表面上への金ナノ粒子の自己形成・集積、金中空微粒子製造を試みた。PEO-PPOブロックコポリマー水溶液にアニオン性フッ素系界面活性剤、カチオン性フッ素系界面活性剤、両性フッ素系界面活性剤、非イオンフッ素系界面活性剤を溶解してバブルを作製し、そのバブル表面上での金ナノ粒子の自己形成・集積、金中空微粒子の作製を検討した。その結果、アニオン性フッ素系界面活性剤とPEO-PPOブロックコポリマーの混合水溶液内で作製した空気バブル分散液に塩化金酸水溶液を添加すると、波長540 nm 付近にピークを有する金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴に由来する吸収スペクトルと波長900 nm 付近にピークを有する金中空微粒子に由来する吸収スペクトルが観察された。走査型電子顕微鏡(SEM)観察から金中空微粒子と思われる凝集体が観察された。一方で、カチオン性、両性、非イオンフッ素系界面活性剤を混合したPEO-PPOブロックコポリマー空気バブル分散液中では、金ナノ粒子は形成するものの、金中空微粒子と思われる凝集体の形成は認められなかった。以上のことから、本申請案の目標であるバブル表面上での塩化金イオンの還元、金ナノ粒子の形成、金中空微粒子の作製には、PEO-PPOブロックコポリマーとアニオン性フッ素系界面活性剤の組み合わせが有効であることが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度:バブル表面上への金ナノ粒子の自己形成・集積、金中空微粒子製造技術の確立 目標:バブル表面上に金ナノ粒子を自己形成・集積させ、金中空微粒子の製造条件を見出す。 水中でのフッ素系界面活性剤の空気バブル表面上への吸着特性とポリエチレンオキシドーポリプロピレンオキシド(PEO-PPO)ブロックコポリマーの水中での金属イオン還元能を組み合わせることにより、水中で形成した空気バブルの表面上への金ナノ粒子の自己形成・集積、金中空微粒子製造を検討した。アニオン性、カチオン性、両性、非イオンフッ素系界面活性剤をPEO-PPOブロックコポリマー水溶液に混合して空気バブルを作製し、塩化金酸水溶液を添加したところ、アニオン性フッ素系界面活性剤とPEO-PPOブロックコポリマーを組み合わせた場合に金中空微粒子と思われる凝集体が形成した。アニオン性フッ素系界面活性剤とPEO-PPOブロックコポリマーを組み合わせた場合には、塩化金イオン還元後、波長540 nm 付近にピークを有する金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴に由来する吸収スペクトルと波長900 nm 付近にピークを有する金中空微粒子に由来する吸収スペクトルが観測された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)観察から金中空微粒子と思われる凝集体が観察された。以上のことから、平成29年度の目標であるバブル表面上での塩化金イオンの還元、金ナノ粒子の形成、金中空微粒子の作製を達成できたものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度:金中空微粒子の触媒活性評価 目標:金中空微粒子の粒子径、膜厚と触媒活性との相関性を見出す。また、金ナノ粒子の触媒活性との相違点(優位点)を見出す。 課題:どのようにして、金中空微粒子の粒子径、膜厚を制御するか?解決策:平成28年度に検討したバブルの粒子径制御技術を活用する。解決策:形成する金ナノ粒子のサイズ制御を行う。 検討事項:(1)両親媒性高分子の種類・反応温度による金属イオン還元速度を制御する。(2)申請者が研究している超音波還元法を組み合わせる [Sakai et al., Colloids Surf. A, 2009]。評価:4-ニトロフェノールの還元反応(4-ニトロフェノール→4-アミノフェノール)をモデル反応として触媒活性評価を行う。4-ニトロフェノールの吸収スペクトル(最大吸収波長400 nm)を測定し、4-ニトロフェノール濃度の減少速度から触媒性能を評価する。 平成29年度においてアニオン性フッ素系界面活性剤とPEO-PPOブロックコポリマーの混合水溶液中で空気バブルを調製し、塩化金酸水溶液を添加すると金中空微粒子が形成することが確認された。金中空微粒子の触媒活性評価において、金中空微粒子の粒子径、膜厚を制御方法、バブル表面に集積した金ナノ粒子の固定化技術を確立が必要である。そのため、空気バブルサイズの調整と塩化金イオンの還元速度の制御、金ナノ粒子の接合について検討する予定である。
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