2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new nanocomposite-type ferrite magnets yielding strong magnetic force
Project/Area Number |
16K04900
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山室 佐益 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (10402653)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化鉄 / ナノコンポジット / ナノ粒子 / 磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
共析反応という冶金学的な相分解現象を利用して,磁性金属(Fe)とスピネル酸化鉄(Fe3O4)をナスケールで複合化したナノコンポジット磁性体の作製を試みた。固相・液相両プロセスを用いて試料作製を行い,ナノコンポジットの前駆物質となるFeO相の形成とその分解条件の最適化,ならびに得られたナノコンポジット試料の構造・磁気特性の評価を実施した。平成30年度は,磁気特性の向上を企図したCo添加の影響について系統的に調べた。 固相・液相両プロセスにおいて,FeO単相を得るための反応条件,ならびにそれをナノコンポジット化するための熱分解条件を明らかにした。特に,固相プロセスにより作製したナノコンポジット磁粉は室温において100 emu/gを超える高い磁化を示し,高飽和磁化を有する金属磁性相(Fe)が大きく寄与している結果を得た。また,Fe/Fe3O4ナノコンポジット粉末は異種磁性相から構成されているにもかかわらず単相のような磁化曲線を示し,両相間での磁気結合の存在が示唆された。Co添加の影響について調べた結果,Co添加量の増大にともない FeO構造を有するFe-Co-O系酸化物の形成およびその熱分解が大きく阻害されることが明らかになった。比較的良好なFeO構造を示したFe-Co-O系酸化物を熱分解したところ,Fe3O4単相よりも大きな飽和磁化(100 emu/g超)が得られた。そして,ナノコンポジット試料の保磁力はCo添加量の増加とともに増大したことから,当初の目的通り磁気異方性の大きなCoフェライトが形成されていることが確認された。また,固相・液相両プロセス間の相違も明らかとなり,固相プロセスに比べ液相プロセスでは非平衡なFe-Co-O系酸化物が形成されやすく,その熱分解も進行しやすいという利点が明らかになった。
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