2018 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質分子間相互作用の力学変調と高分解能イメージング
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16K04908
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
西山 雅祥 近畿大学, 理工学部, 准教授 (10346075)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高圧力顕微鏡 / 水和 / 分子間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、等方的な力学作刺激である圧力を用いて細胞内で働く分子機械を操作する事で、細胞が生きたままの状態で、その形態および活性を操作できる手法を開発することにある。これまで行ってきた人工細胞などを使った実験などを参考にしながら、平成30年度は、私達の体の中で高い静水圧を受けている細胞・組織に着目して研究を実施した。歯根膜細胞は歯と歯槽骨の間に位置し、咀嚼時において細胞を引っ張る力(伸展力)や圧力といった機械刺激にさらされている。これまでから研究代表者が世界にさきがけて開発してきた高圧力顕微鏡を用いて、歯根膜細胞の核の形を観察した。その結果、20MPa以下の圧力条件下では細胞核の形状に顕著な変化は見られなかった。それに対して、yより大きな圧力下では、細胞核の断面積が時間とともに減少することが明らかになった。この結果から、静水圧が細胞核膜のダイナミクスを大きくかえる可能性を示された。次に、細胞核膜の内外を行き来している転写因子FoxO3aに着目し、歯根膜細胞内での局在を抗体染色で可視化した。常圧力下では、FoxO3aは核内及び、細胞質側にわたって一様に分布していたのに対して、30MPaの静水圧を5分間負荷したところ、FoxO3aの核内局在化が見られた。これまでの研究により、FoxO3aは核内局在により老化抑制の効果があることが知られているので、次年度以降においては、高圧力下でのFoxO3aの核内移行の実時間観察を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年4月にて、現職への異動にともない、新しく研究環境を立ち上げる必要があったから。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧力下で生きた細胞内で起きている現象を明らかにするため、高圧力顕微鏡による実時間観察を実施していく。
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Causes of Carryover |
高圧力顕微鏡を用いて、生きた細胞内で転写因子の核内移行を観察するため。
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