2016 Fiscal Year Research-status Report
樹脂構造体を用いたがんの早期診断のための安価なマイクロ予備濃縮器の検討
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16K04919
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
李 相錫 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50625233)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロヒータ / 実験系 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年には当初の予定通り、まず実験系を構築した。購入したガスクロマトグラフィのセットアップ(組立、ガスライン、制御ソフトなどの設定)を行った。設定後、ppmオーダーのトルエンガスを用いて動作確認を行った。 マイクロ予備濃縮器に吸着された揮発性有機ガスの脱着するためには300度以上の加熱が必要であり、現状ではサース性の治具を用いるため少なくとも1時間ほどの時間がかかる。脱着時間ををより短時間させるためマイクロ予備濃縮器に備えるマイクロヒータの検討を行った。材料はPtとCuを検討した。適切なマイクロヒータ線の厚みや幅を求めるため5分以内に300度まで加熱可能という条件の下で検討を行った。シミュレーションモデルでは厚さを0.5μm、5μm、10μmの3種類を考慮した。また、マイクロヒータ線の幅は、50μm、75μm、100μmの3種類を検討した。シミュレーションでは1.0Vを印加し、5分間の時間変化に対する温度変化を計算した。その結果、マイクロヒータの材料がPtで線幅が50μm、75μm、100μmの場合、印加電圧1Vでは300度まで達成できなかったが、厚さが0.5μmの場合、電圧を10Vに上げることで100秒ほどで300度まで加熱できることがわかった。一方、マイクロヒータの材料がCuであり、線幅が50μmの場合、厚さが0.5μmではやはり10Vまでの電圧が必要であることがわかった。しかし、マイクロヒータ部分の最高温度が1240℃まで上がり、Cuの融点が約1085℃であるため断線する恐れがあるため印加電圧を下げる必要ある。厚さ10μmと5μmの場合は300度まで達する時間が約25秒と75秒であった。しかし、Cuを5μmまたは10μmの厚さまで形成するためにはめっき工程が必要である。マイクロヒータの幅が75μmと100μmの場合も11-35秒で300度を得ることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りマイクロ予備濃縮器の作製プロセスの案も提案できている。実験系の構築も修了している。またマイクロヒータの検討も順調であるため概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、平成29年度には提案したマイクロ予備濃縮器の作製プロセスに基づいて樹脂を用いたマイクロ予備濃縮器を作製する。そのため、必要な条件出しを行う。条件出しの際には必要に応じて本研究に協力している韓国化学研究院情報電子素材研究センタの薄膜材料研究グループと協力しながら実験を進める。場合によっては韓国化学研究院を訪問し、共同実験を行う予定である。 次に樹脂を用いたマイクロ予備濃縮器の性能評価に先立ってSiからなるマイクロ予備濃縮器の作製を評価も行う。評価には総6種類の設計モデルにおいて作製と評価を行い、樹脂を用いたマイクロ予備濃縮器の性能評価時指標として用いる。
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Causes of Carryover |
樹脂を用いたマイクロ予備濃縮器の作製関連実験において実験施設との日程調整ができず、出張旅費と施設利用費において次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度には実験を早めに進め、次年度使用額を利用してマイクロ予備濃縮器の作製を行う。
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