2017 Fiscal Year Research-status Report
樹脂構造体を用いたがんの早期診断のための安価なマイクロ予備濃縮器の検討
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16K04919
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
李 相錫 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (50625233)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロ予備濃縮器 / 1ppb / 作製プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度にはマイクロ予備濃縮器の作製プロセスの確立を行った。PDMSとNOA63の2つのポリマを使用するダブル転写法によるマイクロ流体デバイスの作製例はあまりなく、初めての試みだったため作製に必要なプロセス条件の確立ができた。そのため作製されたデバイスの評価は次年度になる予定である。 樹脂によるマイクロ予備濃縮器性能の比較評価のためSi微細構造体からなるマイクロ予備濃縮器6モデルとカーボンナノチューブからなるマイクロ予備濃縮器1モデルも作製した。作製されたSiとカーボンナノチューブベースのマイクロ予備濃縮器において濃度1ppbのVOCガスが3種類混合されたガスサンプルを用いて性能確認も行った。その結果、Siベースのマイクロ予備濃縮器では千鳥配置をした2つのモデルを使用した場合のみ1ppm濃度の検出能力を持つガスクロマトグラフィーにより1ppbの混合ガスが検出された。さらにカーボンナノチューブベースのマイクロ予備濃縮器においても1ppbの混合ガスが1ppm濃度の検出能力を持つガスクロマトグラフィーにより検出できた。これらの結果はシミュレーションによる計算結果とも一致し、我々が提案した花びら型の微細構造体設計結果の優位性を証明することになる。本実験結果は既存の研究報告にはなかったものであり、論文としてまとめて発表する予定である。また樹脂によるマイクロ予備濃縮器の性能評価の指標にもなるため有意義な実験結果を得たと考える。さらにカーボンナノチューブベースのマイクロ予備濃縮器の性能がSiベースのマイクロ予備濃縮器の性能より優れた性能を示した結果も我々のシミュレーションによる計算結果とも一致するもので初めて実験で確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロ流体デバイスの作製法において2つのポリマを使用するダブル転写法は初めての試みであるため作製プロセスの確立に予定より時間がかかったためマイクロ予備濃縮器の性能評価までは至らなかった。そのためやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、平成29年度に確立したマイクロ予備濃縮器の作製プロセスに基づいて6種類の樹脂ベースのマイクロ予備濃縮器の作製を行い、マイクロ予備濃縮器の性能評価を行う予定である。マイクロ予備濃縮器の作製プロセス確立にも協力していただいた韓国化学研究院情報電子素材研究センタの薄膜材料研究グループとも引き続き協力しながらマイクロ予備濃縮器の作製と評価実験を進める。今後も必要に応じて韓国化学研究院を訪問し、共同実験も行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定した消耗品を購入せずに実験ができたため次年度使用額が生じた。今年度に消耗品の購入に使用する予定である。
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