2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K04949
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小松 隆一 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (20314817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻川 明俊 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (90757337)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 固溶体幅 / 構造解析 / 高温その場観察 / 結晶成長 / 針状結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から引き続きK5Nb9O25相周辺の相関系の研究を進めた。昨年は示差熱走査熱量(DSC)測定の結果から、この相は一致溶融化合物であることを明らかにした。また一致融解組成は化学量論比であることも示した。本年度はこの相の融点直下の1060℃以下の固溶体幅を調べた。融液の急冷実験及び各温度での焼結体作成実験から、この相は、融点直下1060℃以下でニオブ側に拡がった最大4 mol%の固溶体幅が存在することが推定された。この固溶体組成に対応してK5Nb9O25相の格子定数も変化することも明らかになり、ニオブ側からカリウム側に向かって格子定数は直線的に増加することが判った。これらに実験結果から格子定数の変化から固溶体の存在は確かなものと思われる。またこの固溶体組成を超える二相出現領域では格子定数は組成に対して変化していないことも分かった。さらにこの相の周辺相を検討すると報告されているK2Nb4O11相とK5Nb9O25相の粉末X線回折結果はほとんど同じになることが判った。構造解析の結果、この相はK5相であり、K2相の存在は否定される。K5相はタングステンブロンズ構造を持ち、この構造は固溶体幅は広いことがその原因と推定される。 結晶成長の挙動観察として高温その場観察を行った。白金ループ状に化学量論組成セラミクス原料を載せて加熱融解させ、徐々に冷却して結晶成長を高倍率CCDカメラで観察を行った。フラックス法及び融液からの冷却法で育成される針状結晶の成長が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相関係での初めて固溶体の存在を確認できた。本研究の相と同じX線回折パターンを示すK2Nb4O11相の存在を構造解析より否定できた。そして高温その場観察から、一致融解組成からの針状結晶育成を確認できた。これらの情報が新たに得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
K5Nb9O25相は化学量論組成で一致融解することが判ったので、今後はこの組成を用いてμ-PD(融液引下げ)法等での結晶育成を行う。育成した結晶は育成結晶の上下部分のX線回折を行い、組成の変化があるかを明らかにする。同時に結晶の電気的測定評価等も実施することを予定している。併せて昨年度までの相図の検討から明らかになったK2Nb4O11相がないこともこの相の結晶育成から明らかにして相図の正確さを向上させたいと考えている。カリウム(K)を含有する化合物は、原料である炭酸カリウム(K2CO3)が多くの水を含有し、4Nまたは5Nの高純度原料での含水は原料純度に含めないので、化合物組成を正確に決めることは難しい。しかしこの相は小松が見出したK2O-Nb2O5系の2つ目の強誘電体であり、その応用展開上からも相図の決定が重要であると考えている。
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Research Products
(4 results)