2017 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化を利用した有機薄膜太陽電池の界面制御とエネルギー変換効率の向上
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16K04960
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
曽我 哲夫 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20197007)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / 自己組織化 / 界面制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
将来のエネルギー源として太陽エネルギーが期待されており、光から電気へのエネルギー変換を行う安価で高性能の太陽電池が必要である。現在の太陽電池はほとんどがシリコンを基盤としたものであるが、太陽電池の低コスト化やフレキシブル化に向けて、有機太陽電池の開発が急務である。 無機半導体デバイスでは半導体界面がデバイス特性に影響を及ぼすことが多く研究されているが、有機半導体デバイスでは有機薄膜界面の制御が困難であり、界面がデバイス特性に及ぼす研究の報告は少ない。特に有機薄膜太陽電池は膜厚が薄いためにエネルギー変換効率は界面の影響を受けやすいが、有機薄膜の界面が太陽電池性能に及ぼす影響はほとんど理解されていない。本研究では、添加材の自己組織化現象を利用して、塗布型有機薄膜太陽電池の活性層であるバルクヘテロ構造に電子や正孔をブロックする保護膜を形成する手法を確立し、界面の制御によって有機太陽電池のエネルギー変換効率を高めることを目的としている。 本年度は、具体的には、P3HT/PCBM系有機薄膜太陽電池にポリエチレングリコールを添加し、バッファ層の種類、ポリエチレングリコールの添加量の違い、ポリエチレングリコールの分子量の違い、熱処理の温度等により、自己組織化膜の構造や太陽電池のエネルギー変換効率等がどのように変化するかを明らかにすることにより、界面の理解を目指した。これらの作製条件の違いにより有機太陽電池の中でポリエチレングリコールのでき方が大きく異なり、それによって太陽電池特性が大きく変わることが明らかになった。また、界面層を別に成膜することにより、自己組織化膜の効果の解明を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
P3HT/PCBM系有機薄膜太陽電池にポリエチレングリコールを添加し、バッファ層の種類、ポリエチレングリコールの添加量の違い、ポリエチレングリコールの分子量の違い、熱処理の温度等により、太陽電池のエネルギー変換効率等がどのように変化するかを明らかにした。また、ポリエチレングリコールが有機薄膜の中でどのように形成されているかを電界放出型走査電子顕微鏡等で観察した。作製条件の違いによりポリエチレングリコールの形成が大きく異なり、太陽電池特性に大きく影響を与えていることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリエチレングリコールを添加したP3HT/PCBM系有機薄膜太陽電池では多くの結果が得られたので、今後は太陽電池特性以外の薄膜評価を精力的に行い、自己組織化とエネルギー変換効率向上との相関を学術的に明らかにしていく。また、逆型有機薄膜太陽電池やポリエチレン以外の保護膜への展開を図り、シンプルなプロセスで高効率なタンデム型有機太陽電池作製に向けて研究を進めて行く。
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Causes of Carryover |
当初予定していた消耗品を購入を控えたため、平成30年度に繰り越しが生じたが、この金額は平成30年度に実験に用いる消耗品として使う予定である。
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