2017 Fiscal Year Research-status Report
非線形光学効果を用いた高出力ベクトルレーザービームの短波長化と偏光状態の多様化
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16K04975
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
張本 鉄雄 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80273035)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非線形光学効果 / 第二高調波発生 / 径偏光ビーム発生 / ドーナツビーム発生 / 第四高調波発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が提案した二段階第四高調波発生と偏光状態制御についての数値解析評価を行った。径偏光と方位偏光のラゲールガウシアンビームを二つの直線偏光エルミートガウシアンビームに分解したうえ、従来の非線形波動方程式をこの二つの偏光状態に対応させたことで、考案した実験配置の数値評価に必要となる数値解析ができた。既に基本波から第四高調波への変換効率の定量評価ができ、波長1054 nmの基本波から波長532 nmの径偏光ラゲールガウシアンビームの発生に必要なタイプI非臨界位相整合方式LBO結晶の最適設計と、波長266 nmのエルミートガウシアンビーム発生に必要なタイプI位相整合BBO結晶の最適設計を完了した。 また、第四高調波ビームの偏光状態を観測するには、マッハツェンダー型の偏光状態変換光学系の構築とともに、時間と空間コヒーレンスの同時測定が可能となるツイン型マイケルソン干渉計を新しい計測手段として考案し、光波干渉と光子干渉の同時測定のみならず、偏光状態に関する位相情報の絶対測定も可能になった。現段階では、位相の計測精度は2%以下であるが、より小型化と環境安定化を施すことで、超高精度の位相計測は期待できる。 さらに、従来の大きな頂角をもつ円錐レンズと異なって、頂角の小さな円錐レンズを用いたドーナツビーム発生の基礎研究も行い、円錐レンズ内における全反射回数と頂角との関係や出射するドーナツビームの分布特性との関連性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたマッハツェンダー型干渉計を基にした複雑な偏光状態発生の光学系の設計・構築・特性実験、二段階の非線形光学過程による高調波発生の光学系の設計と高効率化の数値解析、円錐レンズによるドーナツビームの発生等がほぼ計画通り実現できた。特に頂角の小さな円錐レンズにおける多重全反射を利用したリング型ビーム制御という新しい方式がほぼ確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
アレイ化した非線形光学結晶による円偏光から径偏光への変換の結晶枚数に対する依存性を明らかにするために、四枚構成の結晶セルの実証結果を踏まえて八枚構成の結晶セルの作成や実証実験についても行う。実用化の観点から非線形光学結晶をアレイ化するときの技術課題等を明確にして、結晶セルを用いた波長変換・偏光状態変換の設計・作製方法を確立していきたい。 また、径偏光やドーナツレーザービームの集光特性を実験で確認し、集光過程における回折現象等の影響を明らかにしたうえ、半導体ウェハーのレーザーダイシングへの応用を試みる。
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