2017 Fiscal Year Research-status Report
バイオプラズマ研究を加速する空気と水の境界面反応のモデリング
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16K04998
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
村上 朝之 成蹊大学, 理工学部, 教授 (20323818)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プラズマ理工学 / モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プラズマの生物・医療応用研究を格段に発展させるため「モデリングにより、空気と水の境界面の物理化学反応を解明する」ことを目的とする。 ① 湿潤空気相におけるプラズマ粒子種を同定し、② 空気-水境界面における微視的な荷電粒子クラスタリング挙動、および ③ 巨視的な浸透・拡散反応を明らかにする。国際共同体制により実験研究と本モデルを統合し、理論・実験・計算の面から「どのプラズマ粒子が空気-水境界面まで届き、新たな粒子を生成しつつ、それを乗り越え、液相に浸透・拡散していくか」を明らかにする。 平成29年度は 予定していたスキーム SP2「空気-水境界面、特に気相側における微視的現象に注目:水分子の相転移にともなう伴う乖離・結合・クラスター化の解明」に則り、プラズマ粒子が水蒸気過飽和状態の空気中で反応するイオンクラスタリングに注目した。特に、水蒸気が過飽和した微小空間を対象とし、プラズマから照射された粒子と液面層から蒸散・蒸発した水分子により形成されるイオンクラスタ(コアとなるイオンにH2O分子が付着する。主にHxOy+/-, HxOyNz+/-, HxOyCz+/-, ここでx,y,zはマジックナンバーと呼称される分子数)の数密度・境界面への堆積挙動・気相から液相種への変化を明らかにした。ここでは数値流体力学のモデリングを新たに開発し、これまでの実績であるプラズマ化学反応計算とのハイブリッド方式を確立した。 その結果、原著学術論文1編、国際会議招待講演1件、国際会議講演3件、国内会議講演2件の業績を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って、然るべきモデリング研究を行っている。特に、液中に内包された気相反応モデル(水蒸気モデル)の開発と液相反応モデルの開発を並列して行っており、それゆえ極めて重要な知見が見出されつつある。 また、国際的な共同研究・国内研究者との共同研究を推進しつつ、原著学術論文投稿ならびに国際会議招待講演を行うなどの効果的な成果発表を行っている。 今後の展開として、気相・液相反応の統合モデル開発を進める余地がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、当初計画スキーム SP3「空気-水境界面、特に液相側における巨視的現象に注目:プラズマ噴流により誘起される流れ場の特性、液中における流体的・化学的な変化の解明」を行う。すでに述べたように、ここでは「気相モデリング」と「液相モデリング」から得られる「空気と水の境界面反応」に関する知見を統合し、バイオプラズマ研究を加速する。具体的には、液中直接放電方式により生成されるプラズマ挙動・化学的活性種の密度を把握する、実大気に晒された大気飽和水の化学反応を把握する、RF電源駆動大気圧プラズマジェットおよびkHz電源駆動大気圧プラズマジェットの特性を把握するモデリングを行う。 また、ウェスリアン大学(米)・クイーンズ大学ベルファスト (英)・ヨーク大学(英)との共同研究を推進し、海外研究者の実験研究を理解する理論モデルを確立し数値シミュレーションを行う。
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Causes of Carryover |
(理由)次年度中に、成果公表に際しオープンアクセスを選択する可能性があり、これに関する費用を見込んだため。 (使用計画)基本的な研究計画に変更はなく、数値計算を主眼とした研究を遂行する。当初の予定と異なる主な使途としては、国際協力に要する費用および成果公表に関する費用の比率が大きくなり得ることである。これも昨年度からの予算支出指針に沿ったものであり、研究進展の妨げにはならない。
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