2016 Fiscal Year Research-status Report
角度分解局所ロッキングカーブイメージングによる歪分布観察
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16K05008
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
高橋 由美子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別技術専門職 (70339258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 馨一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (40218798)
早川 恭史 日本大学, 理工学部, 教授 (40307799)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イメージング / トポグラフィー / 放射光 |
Outline of Annual Research Achievements |
パワーデバイス用単結晶など、格子欠陥のみならず比較的広域に渡る歪状態をも詳細に観察する必要がある材料の評価のため、面内方向の歪・変形・結晶性等の情報とその深さ方向の変化を定量的に把握できる新規の評価方法を確立することを目的として研究をすすめている。 本年度は斜入射トポグラフィーの光学系で試料後方に回折X線の角度フィルターとしてアナライザ結晶を配して局所ロッキングカーブ法による定量評価が可能な光学系を設計・作製した。実験は高エネルギー加速器研究機構放射光研究施設のビームラインBL-14Bで行った。光学系の基本構造は(+,-)配置で設置されたモノクロメータ・コリメータ・試料・アナライザ結晶よりなり、これに入射X線整形用スリット、散乱X線制御用スリットを付加してS/N向上を図った。検出器にはピクセルサイズ6.45μm×6.45μmのX線CCDカメラを配した。光学系の性能調査のためまずはコリメータ結晶を用いない状態でイオン注入を行っていないSiC単結晶の測定を行ったところ、回折X線のピークシフトはX線CCDカメラのアクセプタンス内にほぼ収まり、コリメータ結晶の付加により高歪の試料にも対応できるアクセプタンスが期待できることが確認できた。作成したソフトウェアによって局所ロッキングカーブから最大値分布・ピーク位置分布、ピーク幅分布を再構成画像化できた。これによって定量性と深さ方向の感度を備えた測定が可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画どおり光学系を設計・構築し、次年度予定の性能評価を一部行うことができた。ほぼ予測どおりの結果が得られたので次のステップに進むための見通しがついた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度作成した光学系にコリメータ結晶を追加してX 線ビームの角度発散を抑える。またアナライザ結晶の回折面を検討し、回折強度を確保しつつ角度分解能を向上させた光学系にブラッシュアップする。確立した光学系を用いてパワーデバイス用単結晶の歪分布測定を行う。パラメトリックX線(PXR)を用いた光学系の作製準備にも着手する予定である。
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Causes of Carryover |
高精度回転ステージを予定より低価格で入手できたこと、モータコントローラを施設保有設備で代用可能になったことおよび情報収集のための外国出張がスケジュールの都合上実現できなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度繰り越し分(390,000円)はH29年度物品費(500,000円)に追加し、研究の進展により新たに必要が生じたシリコン単結晶(約560,000円)を購入する予定である。残りの物品費は光学部品等の消耗品費として使用する。その他の直接経費(250,000円)は情報収集・成果発表のための旅費、学会参加費、論文投稿費等である。
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