2016 Fiscal Year Research-status Report
短パルスナノビームX線回折によるリラクサー強誘電体のナノ構造ダイナミクス計測
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16K05017
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| Research Institution | Nagoya City University |
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Principal Investigator |
青柳 忍 名古屋市立大学, 大学院システム自然科学研究科, 准教授 (40360838)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | リラクサー強誘電体 / 時分割X線回折 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リラクサー強誘電体の巨大な誘電・圧電応答の微視的発現機構を理解するために、短パルスナノビーム放射光を用いた微小領域時分割X線回折により、リラクサー強誘電体のナノ領域の交流電場下構造ダイナミクスをリアルタイム計測する。
28年度は、主にリラクサー強誘電体(1-x)Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-xPbTiO3 (PZN-PT)のバルク構造の交流電場下構造ダイナミクス計測に取り組んだ。本研究では、リラクサー強誘電体のナノ構造ダイナミクス計測を目標としているが、それを達成する上で、まず静的なバルク構造に加え、その電場下構造ダイナミクスをよく理解しておく必要がある。そのために、大型放射光施設SPring-8のビームラインBL02B1にて、単結晶X線回折実験を行った。まず電場を印加していない状態の結晶構造の温度変化を精密に決定するために、100、300、400、450 KでX線回折データを収集した。さらに短パルスX線を用いた交流電場下の時分割X線回折実験を行った。交流電場には8.7 kHzの矩形波を用い、分極反転過程のバルク構造変化をサブナノ秒の時間分解能で追跡した。その結果、印加電場の向きの高速な反転に対して、電場方向の格子定数の収縮は電場に追随して高速に進むが、そのあとの分極反転による格子定数の伸長は電場に対する遅れを伴いゆっくりと進むことが分かった。圧電変形および強誘電分極反転に伴うバルク平均構造としての原子ダイナミクスを明らかにするために、得られたX線回折データから結晶構造解析を進めている。以上の他に、リラクサー強誘電体以外の圧電体についても、交流電場下の時分割X線回折実験を行いバルク構造ダイナミクスを明らかにすることで、その有効性を実証した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、28年度中に、大型放射光施設SPring-8のビームラインBL13XUにて、ナノビームX線を用いた微小領域X線回折により、リラクサー強誘電体のナノ構造マッピングを行う予定であった。そのためにSPring-8に実験課題の申請を行ったが（申請番号34165、35741）、採択されなかったため、28年度中は実験を行うことができなかった。再度実験課題申請を行った結果、29年度の実験課題として採択されており、29年度に当該実験を行う。この実験の代わりに28年度中に行ったバルク構造のダイナミクス計測については、ビームラインBL02B1にて順調に測定を遂行できた。
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| Strategy for Future Research Activity |
29年度は、上記理由により28年度中に行うことができなかったナノビームX線を用いた微小領域X線回折によるリラクサー強誘電体のナノ構造マッピングを、大型放射光施設SPring-8のビームラインBL13XUにて行う。PZN-PTなどの典型的な鉛系リラクサー強誘電体の単結晶を試料とし、位相ゾーンプレートによりナノサイズ (100～200 nm) に集光したX線を用いて、試料表面のナノ領域からのX線回折パターンを反射配置でCCD検出器により測定する。試料表面のX線照射位置を精密ステージにより変化させることで、X線回折パターンの2次元マッピングを行う。得られたX線回折パターンの回折ピークの位置や形状から局所構造歪み量を導き出し、2次元的なナノ構造マッピングを行う。これらの実験によってリラクサー強誘電体のナノ構造を明らかにした上で、30年度には交流電場下のナノ構造ダイナミクスの計測に取り組む予定である。
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| Causes of Carryover |
28年度に予定していたナノビームX線を用いた微小領域X線回折実験を行うことができなかったため、そのために計上していた消耗品費が未使用となり、次年度使用額が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の実験は次年度に延期して行う。次年度使用額はその実験に必要となる消耗品費として、繰り越して使用する。
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Research Products
(2 results)
