2016 Fiscal Year Research-status Report
回折限界を超えるX線用回折格子型集光素子の提案とシミュレーションによる原理検証
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16K05019
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
篭島 靖 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 教授 (10224370)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | X線顕微鏡 / 放射光 / X線光学 / X線ナノビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究では、①内側円形回折格子と外側円形回折格子の組み合わせの構造の考案、②数値回折積分によるシミュレーションコードの開発を進めた。①では最もシンプルな構造として内側円形回折格子と外側円形回折格子の面積が等しくなる構造を設定した。すなわち外側円形回折格子の内径と内側円形回折格子の外径を等しくし、外側円形回折格子の外径が内側円形回折格子の外径のroot(2)倍とした。次に、内側円形回折格子と外側円形回折格子のいずれもの格子部の透過光に位相差がπ生ずる厚さを持たせることにした。これも最もシンプルな位相型の回折格子であり、吸収のない理想的な場合に相当する。回折格子の材料はタンタル、X線のエネルギーは10 keVとした。これによりπの位相差を与える厚さは2.645マイクロメートルとなった。 構造の初期的なリサーチであるので、空間分解能は0.25 マイクロメートル、ゾーン数は100とし、計算容量を少なく設定し、計算時間を短縮した。 ②では、①で設定した円形回折格子の構造を複素振幅透過率分布に変換し、数値回折積分を実行し、集光面の光波の複素振幅分布を計算するFortranコードを作成した。集光面の光波の複素振幅について、実数部と虚数部、振幅と位相、絶対値の2次元空間分布を計算し、それぞれを三次元表示することができるようになった。この数値計算結果から、主要性能である空間分解能と回折効率の期待値を求めることができる。 ③設計パラメータの最適化も進める予定であったが、Fortranコードの開発に予想以上に時間を要してしまい、基本的な構造についてのみの計算までしか進まなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
③設計パラメータの最適化も進める予定であったが、Fortranコードの開発に時間を要してしまい、基本的な構造についてのみの計算までしか進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に継続して、集光面の光波の複素振幅分布を計算するFortranコードの精緻化を進める。現バージョンにFortranコード自体にはバグは無さそうではあるが、まだ複雑な回折格子の構造への対応ができていないので、それができるようにバージョンアップを図る。並行して、①で考案した複数の回折格子構造について、パラメータの詳細設計と主要性能(空間分解能と回折効率)の期待値を算出する。最も高い性能を発揮する構造を見極める。
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Causes of Carryover |
学会発表を計画していたが、発表申し込みまでにまとまった成果が得られず、学会へ出張しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2回の学会発表を行う(11月:第14回X線結像光学シンポジウム@つくば、第31回1月日本放射光学会@つくば)。
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