2016 Fiscal Year Research-status Report
大強度ビームのための荷電変換入射方式における放射化の研究
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16K05027
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
吉本 政弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (80414605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金正 倫計 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主席 (10354747)
岡部 晃大 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 任期付研究員 (90437286)
加藤 新一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 博士研究員 (20770605)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大強度陽子加速器 / 荷電変換ビーム多重入射 / 放射化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大強度陽子加速器で使用される荷電変換ビーム多重入射方式における入射部周辺の放射化の原因を明らかにすること、そして対策としての放射化抑制に向けた手法を確立することである。荷電変換入射はビーム損失がほとんど無く且つ原理的には多重入射できるバンチ数をどこまでも増やすことが出来る優れた手法として世界の大強度加速器で広く採用されている。しかし、これまでの研究結果から荷電変換入射によってビーム損失とは異なるメカニズムで非常に強い放射化が生じていることがわかってきた。そこで、大強度陽子加速器施設/3GeVシンクロトロン加速器施設(J-PARC/RCS)においてビーム調整時に使用する100度ダンプビームラインに荷電変換入射による放射化測定のための実験系を構築する。 平成28年度は、荷電変換入射による放射化測定のための実験系の構築に必要な荷電変換膜照射装置の設計・開発と並行して、2次粒子の角度分布及びエネルギー分布測定のための放射化サンプルを用いた放射化測定法の予備実験をRCS本体で実施した。銅サンプルを真空容器周辺に配置した放射化分析では放射化強度の差異しか見られなかった。この原因について、PHITSシミュレーションにより簡単なモデル体系を構築して調べた結果、2次粒子と真空容器との衝突による3次粒子の影響が大きいことが明らかになった。そのため、真空容器外側に配置した銅サンプルによる核種分析では2次粒子よる放射化の効果をマスクされることが分かった。そこで、コリメータ装着型可搬式Ge半導体検出器を用いて、真空容器局所部分を直接的に放射化分析した。その結果エネルギー分布の違いによる生成核種の相違が明らかに顕れてきた。この結果を元に、荷電変換薄膜照射装置の放射化サンプル配置方法を見直し、真空容器の内部に放射化サンプルを取り付けるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
荷電変換膜照射装置の設計見直し及びアウトガス放出の低減に向けた真空処理に時間を要し、平成28年度の夏期ビーム停止期間中での装置据付は間に合わなかった。しかしRCS本体で実施した放射化サンプルを用いた放射化測定の予備実験とPHITSシミュレーションにより、2次粒子のエネルギー分布測定の目処がついたことは本試験に向けた大きな一歩である。また二次粒子の直接測定法に向けた開発も同時に進行しており、本年度夏期ビーム停止後からの本試験では比較的速やかに結果が得られると期待できる。これらを勘案すると本研究課題は「おおむね順調に進展している」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、上半期までにPHITSシミュレーションを用いて放射化サンプルの材料最適化に向けた検討を行う。夏期ビーム停止期間中に荷電変換膜照射装置をJ-PARC/RCSの100度ダンプビームラインに設置し、荷電変換入射による放射化測定のための実験系を構築する。 下半期はビームを用いた照射試験を行い、放射化測定法により2次粒子のエネルギー分布測定を実施する。同時に2次粒子直接測定法による粒子弁別及びエネルギー測定の実証試験も行う。またビーム試験と並行して、放射化抑制のための遮蔽体設計も開始する。
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