2017 Fiscal Year Research-status Report
量子ビームの相補利用でみる多様な秩序変数による量子臨界現象
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16K05031
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
金子 耕士 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, 研究主幹 (30370381)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 量子ビーム / 強関電子系 / 国際協力 / 物性実験 / 中性子散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子臨界現象を引き起こす秩序変数の担い手として考えられる,磁性・格子・価数,及びその結合に着目し,各々の秩序波数や微視的な電子状態について調べてきた. 今年度は,格子系として(Sr,Ca)3Rh4Sn13について着目し,秩序波数やソフトモードの濃度依存性を放射光X線非弾性散乱を中心に調べ,ソフトフォノンによりT*の構造相転移が引き起こされること、またソフト化の濃度依存性が量子臨界点に向けてT*~0へと向かう振る舞いを捉えることに成功した.現在、成果をまとめて投稿中である。また格子系では新たな系としてLu(Pd,Pt)2Inについて実験に着手した。主に放射光X線非弾性散乱から、当該化合物の2次構造相転移がソフトフォノンによって引き起こされる点を明らかにし、(Sr,Ca)3Rh4Sn13との類似性等、系統的な理解に向けた着実な進展が得られた。磁性と価数が結合したEu系については,価数揺動系の中でもEu3価に比較的近いEuPd2Si2について中性子非弾性散乱実験から,多重項励起の観測に成功し,価数と多重項励起の間の相関が得られるという成果に繋がった.また同じEu系では,カイラル結晶構造を反映した特異な磁気秩序が期待されるEuPtSiについて中性子・放射光を相補的に用いた回折実験により,両者の強い結合状態を示す磁気構造の決定に成功した. 以上,初年度に引き続き,様々な秩序変数を対象とした物質系について,主に秩序波数の量子臨界点に向けた系統的な変化について重要な成果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内の研究炉の再稼働が遅れたため、主に環境整備や実験の実施について若干の遅れがある.一方で,実施した実験については,それぞれ重要な成果が得られており,全体的な進捗に大きな問題はない.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた成果を発展させ,各秩序変数に対応した量子臨界現象の理解に迫る.またより普遍的な理解を目的として,さらなる物質系にも同様の研究を発展させることを計画している
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Causes of Carryover |
(理由)本課題の採択時期のずれ及び主たる研究施設であるJRR-3の再稼働の遅れにより当初計画に対して予算の執行が計画どおりに行えてない部分があるため、次年度使用額が生じることとなった。
(使用計画)H30年度においてはJRR-3の再稼働の遅れを加味した執行計画に見直しを図り、研究環境の整備や国内外代替実験施設での実験実施に係る費用として使用する予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] Magnetic anisotropy in isovalent spin S=7/2 family EuTIn4 (T=Ni, Pd, Pt)2017
Author(s)
K. Kaneko, S. Ikeda, M. D. Fronzek, H. Cao, T. Hanashima, A. Nakao, R. Kiyanagi, T. Ohhara, Y. Homma, H. Kobayashi, H. Yamagami
Organizer
International Conference on Neutron Scattering (ICNS2017)
Int'l Joint Research
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