2016 Fiscal Year Research-status Report
フォノン工学におけるメタマテリアル複合材料の応用に関する計算科学的研究
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16K05038
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
寺尾 貴道 岐阜大学, 工学部, 教授 (40271647)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大規模数値シミュレーション / メタマテリアル / 固有値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては、主に以下の2つの課題に関する研究を行った。
(i) 超大規模行列の固有値解析ソフトウェア・パッケージの改良に関する研究:本研究課題においては、超大規模疎行列(特に非エルミート行列)に関する固有値解析が不可欠である。この問題に関連して、本研究では大規模疎行列における固有値解析手法に関する改良を行い、より高精度の固有値・固有ベクトルの計算が可能となる事を実証した。また、本研究課題における3次元メタマテリアル複合材料の解析を行う上では、超大規模行列の線形計算を高速に行う事が不可欠である。この問題に関連して、最新のスーパーコンピュータにおけるアーキテクチャに適した、関連ソフトウェア・パッケージの高速化を行った。
(ii) 微粒子集積化材料に関する研究 :メタマテリアル複合材料を実現させる上で、ソフト・フォノニック結晶の物理的性質について明らかにする事は興味深い問題である。本研究では、ソフト・フォノニック結晶を実験的に作成する方法の一つである微粒子集積化材料の特性、およびその構成要素である微粒子系における物理的性質について、計算科学の立場から詳細な研究を行った。具体的には、高分子を付加した微粒子系における有効相互作用および構造形成について定量的に明らかにした。特に、空間的に閉じ込められた微粒子系の振る舞いについて議論を行った。また、微粒子系を集積化した材料に関する理論研究を行い、その力学的性質および弾性的性質に関して明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソフト・フォノニック結晶の構成要素の一つである、高分子を付加した微粒子系の物理的性質について、モンテカルロ・シミュレーションにより新たな知見を得ている。また本研究課題に関連して、大規模疎行列の数値計算手法に関する従来の研究をより発展させる事に成功している。一連の研究により今後、メタマテリアル複合材料の特性解明と応用に寄与する事が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題における、今後の推進方策は下記の通りである。
・平成28年度においては、ソフト・フォノニック結晶の力学的性質を明らかにするための基礎研究を行った。今後は、上記の系における弾性波の減衰および非線形効果に関する定量的研究を行う。 ・ソフト・フォノニック結晶における光学的性質に関する研究を行う。上記の一連の研究で得られた結果と組み合わせる事によって、より高度な機能を有するメタマテリアル複合材料の研究を行う事が可能となる。 ・現在、日本国内における計算機センターにおいて、より新しい世代のアクセラレータを備えたスーパー・コンピュータが配置されている。これらの性能を最大限に引き出す為に、ソフトウェア・パッケージの更なる拡張を行う。
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