2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05052
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹ケ原 裕元 室蘭工業大学, 工学研究科, 教授 (10211351)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バーンサイド環 / 乗法的誘導 / モノイド / 斜バーンサイド環 / 単項バーンサイド環 / F-バーンサイド環 / ゴースト環 / オブストラクション環 |
Outline of Annual Research Achievements |
有限群 G のモノイド関手とは、G の各部分群 H に対するモノイド M(H) からなる族で、適当な条件を満たす制限写像および共役写像を備えたもののことをいう。モノイド関手を用いて G の各部分群 H に対する有限 H 集合の圏からモノイドの圏への反変関手 T を構成した後に、T の要素と呼ばれる有限 H 集合 J と T(J) の元からなる組の同型類に関するグロタンディック環を定義し、M-バーンサイド環と名付けた。また G の各部分群 H に対する M-バーンサイド環からなる族により G-関手を定義し、M-バーンサイド環関手と名付けた。この関手は、すでに知られている F-バーンサイド環関手の G-関手版といえる。さらに、M-バーンサイド環関手が制限写像、共役写像および誘導写像と共に乗法的誘導写像を備えるための M に関する十分条件 (T) を得た。特に、条件 (T) では、M 自身が乗法的誘導写像を備えていることが要請される。斜バーンサイド環関手や単項バーンサイド環関手が条件 (T) を満たすモノイド関手 M から構成される M-バーンサイド環関手であることも示され、それらの関手の一般化である、乗法的誘導写像を備えた広い意味のバーンサイド環関手の構成に成功したことになる。M-バーンサイド環に対するゴースト環およびオブストラクション環も定義され、バーンサイドの基本定理が M-バーンサイド環の基本定理として一般化された。このことにより、斜バーンサイド環や単項バーンサイド環に関する単数群の構造等の環論的性質を統一的に研究できるようになった。 M-バーンサイド環関手の乗法的誘導写像をゴースト環関手の乗法的誘導写像として記述することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 有限群 G のバーンサイド環について、べき等元公式や Yoshida の基準を用いた単数群の構造解明に進展があった。それまでの理論に比べて、具体的な群のバーンサイド環における単数群の構造を決定することに寄与するより強力な手法が得られている。また、B 型コクセター群のバーンサイド環が、その群の指標環と同型な部分環を含むことを示し、その応用として、パラボリックバーンサイド環における単数群の構造を解明した。 2. 斜バーンサイド環関手や単項バーンサイド環関手の一般化である、乗法的誘導写像を備えた M-バーンサイド環関手の構成したことにより、斜バーンサイド環における単数群の研究を、先行している単項バーンサイド環における単数群の研究を通した、M-バーンサイド環における単数群の研究として進められることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
有限群 G のグリーン関手 X から G-モノイド S に関する Dress 構成で得られるグリーン関手 XS について、G の各部分群 H に対する XS(H) が H の S に関する斜バーンサイド環の加群であることを示す。また、グリーン関手 X が乗法的誘導を備えていれば、グリーン関手 XS も乗法的誘導を備えていることを示す。そのために、バーンサイド環関手が備えている乗法的誘導と斜バーンサイド環関手が備えている乗法的誘導の関係を解明し、一般の場合のグリーン関手の場合に応用する。応用として、G の表現環関手が備える乗法的誘導から G の quantum double の表現環関手が備える乗法的誘導を構成する。
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Causes of Carryover |
予定していた図書購入ができなかったことと、旅費の使用が予定より少なかったことによる。
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