2020 Fiscal Year Research-status Report
ハイパースペシャル・コンパクト群の既約表現の研究とその応用
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16K05053
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
高瀬 幸一 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (60197093)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超尖点的既約表現 / Langlandsパラメータ / Weil 群 / root number |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルキメデス的局所体上のハイパースペシャル・コンパクト群の正則既約表現の一般理論が完成したので,その応用として,局所体上の古典群の超尖点的既約表現を具体的に構成し,そのLanglandsパラメータを,形式的次数予想と root number 予想を確認することにより推測する研究を進めた.具体的な成果としては,特殊線形群と斜交群(これらは,局所体上分裂する単純な半単純かつ単連結な代数群の典型的な例であることに注意する)に対して,超尖点的既約表現とLanglandsパラメータの候補を具体的に構成し,それらに対して形式的次数予想と root number 予想が成り立つことを確認した.その過程で,構成したLanglandsパラメータを複素線形表現として一次元表現からの誘導標の直和に分解して root number を幾つかの Gauss 和の積として表し,1973年の Frolich と Queyrut の結果から Gauss 和の具体的な値を決定した.また,超尖点的既約表現の一般理論である Kaletha の理論との関連が,Kaletha の理論を構成する各部分の明示的な決定(馴分岐楕円トーラスに対応する building 上の点の決定,馴分岐楕円トーラスの類体論の具体的記述,Langlands-Shelstad メカニズムによるLanglandsパラメータの具体的な記述)を行うことにより,解明されつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
局所体上で分裂する単純な半単純かつ単連結な代数群の典型的な例である特殊線形群と斜交群に対して,超尖点的既約表現とLanglandsパラメータの具体的な構成及び形式的次数予想と root number 予想に関して,期待通りの成果を上げることができた.さらに,その後の研究により,超尖点的既約表現を馴分岐楕円的トーラスとその指標によりパラメータ付けする,Kaletha の理論との関連が解明されつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
・特殊線形群と斜交群に関して,本研究により構成された超尖点的既約表現およびLanglandsパラメータと Kaletha の一般論との関係を明確化する. ・特殊線形群と斜交群に関する研究から得られた知見と経験を参考にして,特殊直交群の場合を研究する.特殊直交群は単純な半単純代数群であるが,一般には局所体上で分裂しないし,単連結でもないから,そこから幾つかの研究課題が生じる.
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Causes of Carryover |
COVID-19蔓延により,全ての研究集会が中止またはオンラインによる遠隔開催となったため,補助金の使用目的の多くを占める旅費の支出ができず,残余部分を次年度使用に振り替えたため.2021年度は,引き続き旅費及び研究に必要な専門書籍の購入に使用する計画である.また,研究者相互が直接顔を合わせることの重要性を痛感するので,COVID-19の蔓延状況が改善した場合には,研究集会に積極的に出席するための旅費として使用する予定である.
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