2020 Fiscal Year Research-status Report
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16K05067
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伊藤 稔 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (60381141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 詔 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (60547553)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 行列式 / 正標数 / 不変式論 / 外積代数 / twisted immanant |
Outline of Annual Research Achievements |
下吉仁平氏と共同で行った行列式の冪の展開係数についての研究について、学術論文にまとめて、発表した。指数が素数pを用いてp-1と表されるときに行列式の冪の展開係数に0が含まれないことはD. G. Glynnによって示されていたが、行列のサイズが3以上の場合には、この逆も成立することがわかった。証明は非常に初等的だが、予想外の結果で興味深い。 またこの研究の元になったGlynnによる結果について、新しい証明を得た。Glynnはこれを彼自身が導入した超行列式(hyperdeterminant)を用いて証明している。この超行列式は正標数の場合にのみ意味をなすが、積を保つという性質をもった注目すべき超行列の函数であり、このような対象と結びつくという点でも面白い。ただ証明としては風変わりであり、またさほど易しくはない。この結果については、木本一史による別証明も知られているが、この状況に対して、偏極作用素を用いた不変式論的な証明を得た。ごく自然で易しい証明である。 以上の結果は、非可換な枠組みのものではないが、本研究課題のテーマである母函数論の成果と言える。当初の計画の想定とは、少々異なる方向で興味深い進展があったということになる。 今年度は、また、以前から研究していた外積代数における不変式論とtwisted immanantについて、改めて整理をして表現論シンポジウムで概説講演する機会があり、理論の全体像を一つの文書にまとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下吉氏と共同の行列式の冪の展開係数についての研究は、学術論文としてまとめ、発表することができた。またこの研究の元となったGlynnの結果について、新しい証明を得ることもできた。以上の結果は、非可換な枠組みのものではないが、本研究課題のテーマである母函数論の成果と言える。当初の計画の想定とは、少々異なる方向で興味深い進展があったということになる。
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Strategy for Future Research Activity |
行列式とPfaffianの融合が登場する高階のCayley-Hamilton型定理が記述する不変式論について、研究を進めたい。Schur多項式の特殊値に関する研究や行列式の冪の展開係数に関する研究については、表現論との関係を探りたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、予定していた海外からの招聘を中止した。また出張も取りやめた。2021年度は論文をオープンアクセス化する経費などに使うことを予定している。
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Research Products
(7 results)