2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K05070
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
西山 享 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70183085)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多重旗多様体 / グラスマン多様体 / exotic モーメント写像 / Robinson-Schensted 対応 / ゼータ積分 / Steinberg 多様体 / 余法束多様体 / enhanced 隨伴作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
)1) シンプレクティック群 G とその対称部分群である一般線型群 H を考える.2017年度には,二重旗多様体 X に付隨する概均質ベクトル空間を考え,基本相対不変式の冪積を核とする積分核作用素 K によって,退化主系列表現の間の intertwining 作用素を構成した.本年度(2018年度)はその積分核作用素の複素パラメータによる解析接続とフーリエ変換を Bent Orsted 教授(Aarhus 大学)・和地輝仁准教授と研究した.研究成果は,ザグレブ大学の研究集会,プラハ・中国三亜の研究集会において発表し,GROUP32 Proceedings に掲載された(2019年4月). 2) 対称対 (G,K) = (GL(2n,C), GL(n,C)×GL(n,C)) の二重旗多様体を考え,モーメント写像と余法束多様体の構造,その既約成分である軌道の余法束の像(冪零軌道になる)の研究を Lucas Fresse 准教授(IECL, Lorraine 大学)と行った.モーメント写像の幾何を組合せ論に翻訳することにより,Robinson-Schensted 対応の部分置換のなす半群への一般化が得られる.論文はほぼ完成しており,専門学術雑誌に発表の予定である.また,ヨーロッパ,米国を中心に談話会やセミナーで研究成果を発表した. 3) 上記研究の他に,ユニタリ最高ウェイトのコホモロジーの計算 (Pavle Pandzic 教授,Rafael Murden 氏との共同研究),実グラスマン多様体のコホモロジー環の研究 (Pavle Pandzic 教授との共同研究),余法束や冪零軌道の余次元一の連結性など,研究課題周辺のテーマについても研究した.また太田琢也教授(東京電機大学)と行った enhanced 隨伴作用とその不変式の論文を専門誌に投稿して受理・出版された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに述べたように,退化主系列表現の間の intertwining 作用素としての積分核作用素 K については,解析接続を始め,フーリエ変換に関する研究結果を得て,複数の研究集会で成果発表を行い,Proceedings ではあるが査読付きの雑誌に論文を出版した.太田琢也との共同研究は本年度に出版されている.また,Lucas Fresse 准教授との共同研究である,Robinson-Schensted 対応と Steinberg 多様体の一般についてはほとんど論文は出来上がっており,あとは専門誌に投稿,出版されるのを待つばかりとなっている.
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Strategy for Future Research Activity |
二重旗多様体に付隨したゼータ積分とそのフーリエ変換については,正錐上ではその解析接続やフーリエ変換の具体的な公式を得たが,すべての開軌道上において結果を得ることが望ましい.佐藤文広教授によってこれらの計算結果が得られていることを最近知ったので,彼の方法を参考に,独自の表現論的な観点から考察を進める.また,exotic なモーメント写像やスタインバーグ理論の一般化については,すでに共同研究を行っている Lucas Fresse 准教授に加えて,Xuhua He 教授,大島芳樹准教授を新たに共同研究チームに迎えて,wondeful compactification を考察するなど,一般化に向けた研究を行う.さらに,実グラスマン多様体のコホモロジー環に関する研究を進めたいと思っている. 6月には Dobrovnik (クロアチア)で行われる研究集会で exotic モーメント写像に関する研究結果を発表するとともに,論文を専門誌に投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
航空運賃の変動や,空港から会場・自宅までのタクシー使用運賃など事前の見積が困難である支出があったため,少額の繰り越しが生じた.これらは本年度の旅費の一部に充当する.
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