2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05070
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
西山 享 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70183085)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多重旗多様体 / グラスマン多様体 / exotic モーメント写像 / Robinson-Schensted 対応 / ゼータ積分 / Steinberg 多様体 / 余法束多様体 / enhanced 隨伴作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 対称対 (G,K) = (GL(2n,C), GL(n,C)×GL(n,C)) に対する二重旗多様体を考え,モーメント写像とそれに付隨する余法束多様体の構造,およびその既約成分である軌道の余法束の像(冪零軌道になる)の研究を Lucas Fresse 准教授(IECL, Lorraine 大学)と行った.とくに二重旗多様体の軌道が部分置換の対によって分類できる(より正確には部分置換半群の直積を対称群の作用で割った商空間に同型)こと,およびこの部分置換の組から対称対の2種類の冪零軌道へのモーメント写像による対応が組合せ論的に得られることが判明した.この写像を一般化されたスタインバーグ写像と呼ぶが,組合せ論的な記述はロビンソン・シェンステッド対応の一般化になっており,組合せ論的に見ても興味深い.
これらの結果は,2019年6月にドブロブニクで開催された国際集会で発表しており,その報告集を兼ねた米国数学会の学術雑誌に投稿中である.また,得られた結果のうちの "半分" をまとめた論文を投稿中であったが,2020年3月に受理されることが決まり,出版の準備中である.
2) 上記研究の他に,ユニタリ最高ウェイトのコホモロジーの計算 (Pavle Pandzic 教授,Rafael Murden 氏との共同研究),実グラスマン多様体のコホモロジー環の研究 (Pavle Pandzic 教授との共同研究),余法束や冪零軌道の余次元一の連結性など,研究課題周辺のテーマについても研究した.Pandzic 教授および太田琢也教授との共同研究は継続中だが,2020年3月に行う予定であったセミナー,招聘事業がコロナウィルスの感染拡大によって中止を余儀なくされ,現在その対応に関して協議中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Lucas Fresse 准教授との共同研究である,Robinson-Schensted 対応と Steinberg 多様体の一般については前半部分の論文が専門誌に受理され,出版待ちの状況である.また,速報的な論文も準備して,こちらは投稿中.この研究にはさらなる進展も期待され,それも研究中である.Pandzic 教授との共同研究もほぼまとまりかけているものの,コロナウィルスの感染拡大によって共同のセミナーや国際交流が妨げられており,それが唯一の懸念材料である.
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Strategy for Future Research Activity |
exotic なスタインバーグ多様体に関する Lucas Fresse 准教授との共同研究をさらに推し進め,幾何学的なヘッケ加群の理論にまで研究の範囲を広げたい.現在は軌道の閉包関係や,すでに得られた結果のまとめを行っている段階である.一方,Pandzic 教授および Rafael Murden 氏とのユニタリ最高ウェイト表現のコホモロジーに関する結果もほとんど完成しており,その最後の詰めを行いたいと考えている.前年度の研究計画でもあった,wondeful compactification に関する考察,さらに,実グラスマン多様体のコホモロジー環に関する研究も進めていきたいと考えている.ただ,現在コロナウィルス感染症の拡大が懸念されている状況であり,とくに共同研究に対する障壁は高くなってきた.6月に予定されていた国際研究集会も中止になっており,事態の推移を見守りつつ,テレビ会議などの有効な手段を模索したいと考えている.
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの感染拡大によるセミナーの中止,招聘事業の延期などを余儀なくされたため.本年度もコロナウィルスの感染については十分な注意を払わねばならないので使用計画については現状を的確に把握して決定する.実際に招聘などが行えない場合にはオンラインの会議用のパソコンや,デジタル形式のノート用機器,ソフトウェアの購入などを検討する.
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