2021 Fiscal Year Research-status Report
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16K05070
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
西山 享 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70183085)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多重旗多様体 / exotic 冪零多様体 / モーメント写像 / 余法束多様体 / Steinberg理論 / ヘッケ環 / RSK対応 / グラスマン多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) AIII 型の対称対 (G,K) = (GL(n,C), GL(p,C)×GL(q,C)) の二重旗多様体を考え,K 軌道の分類・次元の決定・閉包関係の記述,2種類の Steinberg 写像を組合せ論を用いて記述するなどの基本的な研究を Lucas Fresse 准教授(IECL, Lorraine 大学)と共同で行った.これらの結果は論文の形にまとめて arXiv に発表,現在専門誌に投稿中である.また,有限体上で考えることにより,K 上のヘッケ環の二重旗多様体の余法束への自然な作用を定義できるが,この表現を生成元と関係式で書き下すことに成功した.ヘッケ環のパラメータを特殊化することでワイル群(この場合は対称群の直積)の表現を得ることができるが,この表現を誘導表現を用いて完全に書き下した.この結果は現在,論文の形にまとめているところである.
AIII 型で得られた結果を用いて CI 型の対称対とその二重旗多様体についても,軌道の埋め込み理論を用いて余法束多様体を研究できることが分かっておりそれはすでに,米国数学会の速報誌 Contemp Math に掲載された.しかし,この結果はまだ完全ではなく,Fresse 教授とのオンラインセミナーで完全な結果が得られるように研究を進めている.
2) 上記研究の他に,ユニタリ最高ウェイトのコホモロジーの計算 (Pavle Pandzic 教授,Rafael Murden 氏との共同研究),実グラスマン多様体のコホモロジー環の研究 (Pavle Pandzic 教授との共同研究),一般化された隨伴作用の研究(太田琢也教授との共同研究)などが予定されていたが,コロナ感染症のパンデミックによって研究は停滞している.再度の研究期間の継続申請が認められたので,パンデミック状況が落ち着くのを待って研究を再開する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Lucas Fresse 准教授との共同研究で得られた AIII 型の二重旗多様体の理論はほぼまとまって,現在専門誌に投稿中である.軌道の埋め込み理論を用いたCI型の二重旗多様体の理論は Fresse 教授とのオンライン・セミナーで順調に研究が進んでいる.また,AIII 型二重旗多様体上の余法束多様体のホモロジー環へのヘッケ環の作用を具体的に記述することに成功し,こちらは現在論文として執筆中である. 研究に関する唯一の不透明な点は,コロナ感染症のパンデミックが何時どのような形で収束するかということであるが,これは不可抗力というより他はない.国際集会での発表や国際共同研究などについてパンデミックの状況を見ながら勧めていきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
二重旗多様体上の exotic な Steinberg 理論に関して Lucas Fresse 准教授とのオンラインセミナーを継続し,CI型の二重旗多様体に関する Steinberg 理論や,一般に二重旗多様体同士の埋め込みに関する理論と軌道の幾何学など,基本的な結果をできるだけ早期にまとめあげたい.すでにたくさんの結果が得られているとはいうものの,まだ6割から7割程度の目標しか達成できていないのでこれをできる限り完全な形に近づけたい.また,AIII 型では明らかになってきた幾何学的なヘッケ加群の理論をさらに他の型の二重旗多様体に拡張したい.ルート系の利用が鍵となるだろうと思う. 一方,Pandzic 教授および Rafael Murden 氏とのユニタリ最高ウェイト表現のコホモロジーに関する結果もほとんど完成しているのだが,その最後の詰めがコロナ感染症によるパンデミックのために阻害されている状況である.事態の推移を見守りつつ,オンラインセミナー・会議などの手段を模索したいと考えている.
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの感染拡大・パンデミックによるセミナーの中止,招聘事業の延期などを余儀なくされたため.本年度もコロナウィルスの感染については十分な注意を払わねばならないので使用計画については現状を的確に把握して決定する.
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