2018 Fiscal Year Research-status Report
コホモロジーとモジュラスを用いた代数的サイクルの研究
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16K05072
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
佐藤 周友 中央大学, 理工学部, 教授 (50324398)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 代数的サイクル / コンパクト台つきコホモロジー / エタールコホモロジー / セルマー群 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は前年度に引き続き、ネータースキームの閉埋め込み射 X → Yに付随したある種の相対的なサイクル複体の研究を行った。目標はその複体と X のサイクル複体の比較であるが、問題をXが点の場合に帰着させることを目指し、いくつかの補題を準備した。具体的には開被覆がある場合のマイヤ・ヴィートリス性質などについてである。この研究を遂行するために、萩原啓氏(慶応義塾大学、理化学研究所)と定期的に研究打ち合わせを行っている。 また、今年度は算術的スキームのエタールコホモロジーとセルマー群の間の比較定理を(あるウエイトの場合に)得た。有限体上の場合とは異なり、ヴェイユ予想(ドリーニュの定理)のような強力な定理がない状況であるため、比較定理の証明にはかなり手間がかかるが、局所体上の多様体のコホモロジーに対するp進Hホッヂ理論、代数体のガロアコホモロジーに関するヤンセンのハッセ原理などが重要な役割を果たす。この比較定理はガロアコホモロジーのある種の未解決の局所・大域原理(ハッセ原理)、および算術的スキームのゼータ関数の特殊値の計算にも応用があると期待され、2019年度も研究を継続する予定である。この研究を遂行するために、山崎隆雄氏(東北大学)と定期的に研究打ち合わせを行っている。 また、朝倉政典氏(北海道大学)と、モチーフ複体が許容的コホモロジー理論(admissible cohomology theory)になっていることを厳密に証明するための議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネータースキームの閉埋め込み射 X → Yに付随した相対的サイクル複体についてはこれまでの常識が通用しないため、あらゆる可能性を想定して、考えうる様々なアプローチを検討しながら試行錯誤を行っている。その中で肯定的な準備補題を得ていることから、順調と判断して差し支えないと考える。また、算術的スキームのエタールコホモロジーについては還元に関する技術的な条件以外は何も仮定しない(大予想などを仮定しない)形の結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
ネータースキームの閉埋め込み射 X → Yに付随した相対的サイクル複体については、ガーステン予想を当面の目標としたい。また、算術的スキームのエタールコホモロジーについては、玉河数予想を仮定した場合にゼータ関数の値とどう関係するかを解明したい。
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Causes of Carryover |
2018年度は出張旅費が当初の予定より1回少なかったため、約12万円の繰り越しが生じた。2019年度は研究集会「Regulator in Niseko 2019」にオーガナイザーとして参加し、旅費を補助するため、今年度の繰り越し分はそこで使用したいと考えている。
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