2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05075
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
見正 秀彦 東京電機大学, 情報環境学部, 准教授 (10435456)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ゼータ関数 / 値分布 / 普遍性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究実施計画に掲げた5つの目標のうち,目標①“Riemann zeta関数ζ(s)の零点虚部をパラメーターとしたときの同時普遍性”と目標⑤“多重Steuding予想の算術パラメーター化”に関する研究に進展が見られた。 まず目標①に関わる実績について報告する.Riemann予想を仮定したとき,ζ(s)の複素零点は1/2+iγという形で表される.報告者は2005年に零点虚部γをパラメーターとしてRiemann zeta関数の普遍性が成立すること,すなわち与えられた正則関数f(s)に対し適切なγを選べば,f(s)はζ(s+iγ)により一様近似できるという結果を得ている.報告者は本年度,同様の性質が複数のDirichlet L関数に対して同時に成立することを証明し,この結果を 平成28年9月にリトアニアで開催された研究集会で報告した.さらにHurwitz zeta関数も同様の性質を示すことを証明し,この結果を平成28年10月に京都大学数理解析研究所で開催された研究集会で報告した. 次に目標②についての実績を報告する.1980年代,Gonek, BagchiらによりDirichlet指標 χをパラメーターとしてDirichlet L関数 L(s,χ)が普遍性を示すことを証明した.私と名越弘文氏(群馬大)はこの性質が複数のDirichlet L関数に対し同時に成立することを証明している.本年度,この結果についての論文が雑誌Monatshefte fur Mathematikに掲載された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画では掲げた本年度の目標を2つ掲げている.研究実績の概要で述べたように,目標①についてはかなりの進展が見られたが,その一方で目標②“異なるゼータ関数の零点虚部をパラメーターとしたときのζ(s)の挙動の比較”についてはほぼ手付かずのままである. 平成29年度に手をつける予定であった目標を先取りしたとはいえ,全体としてみると, 研究計画の遂行はやや遅れていると言わざるを得ない.
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは上述した目標②と目標③“ゼータ関数の零点におけるEuler-Zagier和の値分布”に 取り組み,本年度後半からは目標④“保型L関数のフーリエ係数の符号が示す独立性の解明”に取り組む予定である.
|
Causes of Carryover |
平成28年夏に松本耕二教授(名古屋大学)還暦記念研究集会を平成29年8月に実施することが決まり,私は運営委員の一員となりました.科研費の使用期限である平成29年2月の時点では海外ゲストの枠がまだ確定しておらず,研究集会実施予算の不足という万が一に備えて次年度使用額を生じさせた次第です.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現時点では研究集会の実施予算不足の可能性は非常に低いです.昨年度購入予定であったパソコンの購入と,9月にポーランドで開催される研究集会への参加を検討しています.
|
Research Products
(3 results)