2017 Fiscal Year Research-status Report
Abel 函数論の基本函数 σ の熱方程式による特徴付けと一般加法公式の研究
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16K05082
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
大西 良博 名城大学, 理工学部, 教授 (60250643)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | sigma function / algebraic curve / heat equation / Abel function / Hurwitz integrality |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 多変数 sigma 函数の原点での冪級数展開が Hurwitz 整であることを証明し、査読付き学術論文として掲載されることが決定した。(Proc. Edinburgh Math. Soc.) 実際は係数は完全な Hurwitz 整にはならないで、ところどころ 2 の冪を分母に含むが、それがいかなる事情で起こるのかを精密に調べ、その点についても十分な解明を行ひ、論文にも述べた。 (2) 多変数 sigma 函数の原点での冪級数展開の係数に関する漸化式を研究した。特に、Buchstaber-Leykin の先駆的な、しかし何回な論文を詳細に検討し、整理した上で、細部にも詳細な証明を与へた。それまでえられてゐなかつた種数 3 の場合について具体的な漸化式を与へた。それらをまとめて、共著の論文に仕上げ preprint server に掲載した上で、査読付き学術誌に投稿した。 (3) Hecke の L 函数の 1 における値を与へる楕円 Gauss 和を調べた。Birch Swinnnerton-Dyer 予想に鑑みて、L 函数が 1 で消える場合を pari/GP を用いて調べ、その系列を具体的に記述する精密な予想を立てた。その一部に証明を与へた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べた (1), (2), (3) は当初に想定した成果を含んでゐる。
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Strategy for Future Research Activity |
(2) の結果は Weierstass form と呼ばれるやや特殊な場合で、modality が 0 の場合のみを扱つてゐる。これを完全に一般な場合に拡張する。方法は申請者が理論的な枠組みを与へ、それを元に J.C. Eilbeck 氏に計算機で具体例の計算をしてもらふ。それが満足のいく結果を与へることを確認した上で、2 人で証明に取り組む。対面にての共同研究が望ましいが、 そこまでの時間的な余裕がないので、mail 等で共同研究を推進する。 (3) の推進。この予想には形式群が関係してゐるため、形式群の専門家と連絡を取り、お互ひに出張して対面で議論を重ねつつ、証明に挑む。
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Causes of Carryover |
東京または広島への研究打ち合せで出張する心算であつたが、時間的な余裕がなく機会を逸したため。
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