2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05085
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
長岡 昇勇 近畿大学, 理工学部, 教授 (20164402)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 保型形式 / modular形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間(平成29年4月~平成30年3月)において、2件の学術論文が専門研究分野の学術雑誌に掲載された。それぞれの研究成果は以下のとおりである。 学術誌 Abhandlungen Math. Seminar Hamburg数学紀要に掲載された論文「On the theta operator for Hermitian modular forms of degree 2」においては、今まで確認されていなかったHermite modular形式の場合の、theta作用素のmod p核に含まれるmodular形式の存在を証明した。またこの論文では複素Leech格子に付随するteta級数が、theta作用素のmod 11核の元であることも示されている。 学術誌 Journal of Number Theory誌に掲載された論文「On the mod p kernel of the theta operator and Eisenstein series」においては上記の第一論文の結果をさらに一般の次数の場合に拡張した。この結果は今まで存在が確認されていなかった「奇数次」の場合でtheta作用素のmod p核に含まれるmodular形式の存在をEisenstein級数を用いることにより示している。この結果の副産物として、Shimuraが研究した「weightの低いEisenstein級数」のひとつの結果、すなわち「次数n、wegiht (n+2)/2のEisenstein級数は恒等的に消える」という事実の別証明が得られた。この結果はHermitian modular形式の場合にも証明されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究でスカラー値の場合の多変数modular形式について、そのmod p での性質を調べてきた。その結果、様々な興味深い現象を発見し、その証明を与えてきた。これらの結果は、単に古典的なスカラー値の場合に成立する現象であるかどうかは今のところ不明である。現在、今まで得られてきた結果をベクトル値Siegel modular形式の場合への拡張を試みているが、単発的な結果は得られているが、その完全化が課題として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記「現在までの進捗状況」にも述べたとおり、これまでmodular形式のmod p理論、p進理論をスカラー値の場合に研究してきた。報告者とドイツ、マンハイム大学の研究者Boecherer教授との共同論文で、ベクトル値の場合への拡張の重要性を述べた。その後、ベクトル値Siegel modular形式の場合に、Siegel modular形式のtheta作用素の像がp進Siegel modular形式となることを証明した。これらの結果を他の多変数modular形式の場合に成立することを証明したい。いくつかの実例が得られているので、これらの事実を基に研究を進めていきたい。
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Research Products
(4 results)