2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K05085
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
長岡 昇勇 近畿大学, 理工学部, 非常勤講師 (20164402)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 保型形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
この期間(2018年度)、次のの2論文を発表した。 [1] On the kernel of the theta operator mod p, manuscripta math. [2] On the mod p kernel of the theta operator and Eisenstein series, Journal of Number Theory. これらの論文で、研究主題であった「素数pを法とするテータ作用素の性質」について、これまで懸案であった(i)奇数次数のジーゲル・モジュラー形式の場合のmod pテータ作用素の理論 (ii)カスプ形式でテータ作用素のmod p核に入るようなものの構成、の二点について、次の様な結果を与えた。[1]では、この研究の研究の発端となった「Igusaのカスプ形式がテータ作用素のmod 23核にはいる」という事実の成立理由の解明を行った。[2]では、これまで奇数次数のジーゲル・モジュラー形式と偶数次のエルミート・モジュラー形式でテータ作用素のmod p核に入るものの存在は知られていなかったが、このような保型形式の存在条件と具体的構成を行った。これらの結果は、テータ作用素のmod p核理論が単に単発的な理論ではないことを示している。これらの結果は、おもにアイゼンシュタイン級数とよばれる保型形式のフーリエ係数の算術的性質を使うものであるが、このほかに、二次形式に付随するテータ級数を用いる方法が考えられる。現在、すでにユニモジュラー格子に対するテータ級数について考察を行っている。具体的には、ニーマイヤー格子とよばれる階数24のユニモジュラー格子を考え、それに付随するテータ級数を考えると、上記「テータ作用素のmod p核にはいるジーゲル・モジュラー形式」が得られることを確認している。どのようなニーマイヤー格子に対して、どのような素数pがとれるか現在研究中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の出発点で目標とした「テータ作用素のmod p核に入る保型形式の特徴付け」という研究目標に対して、奇数次のジーゲル・モジュラー形式の場合と偶数次エルミート・モジュラー形式の場合に、研究当初目標としていた結果が得られた。残された課題(テータ級数によるテータ作用素のmod p核の元の構成)も現在研究中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今期までに得られた成果は、目標としていた「テータ作用素のmod p核に入る保型形式の特徴づけと具体的構成」を、アイゼンシュタイン級数という特別な保型形式を用いて実行するものであった。今後は、アイゼンシュタイン級数だけでなく、二次形式のテータ級数を用いて構成を試みたい。すでに、ニーマイヤー格子とよばれる階数が24のユニモジュラー格子にたいするテータ級数の場合にいくつかの結果、すなわち、それらに付随するテータ級数から得られるジーゲルモジュラー形式(重さは12となる)について結果をを得ているので、有効な手段と思われ成果が期待される。 具体的には、次の二点を中心に研究を進めていきたい: 1.ユニモジュラー格子、とくにニーマイヤー格子とよばれる階数が24のユニモジュラー格子に対するテータ級数のフーリエ係数を調べることにより、それが テータ作用素のmod p核に入ることを確認したい。 2.次数が2、重さが2のアイゼンシュタイン級数の整数論的性質を解明したい。
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