2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K05086
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松本 圭司 北海道大学, 理学研究院, 教授 (30229546)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超幾何微分方程式系 / モノドロミー表現 / ねじれホモロジー群 / 交点形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
超幾何微分方程式系のモノドロミー表現とその既約性についての研究を主に行った。 3階の常微分方程式をみたす一般超幾何関数を2変数に拡張し、その関数が rank 9 の確定特異点型の超幾何微分方程式系をみたすことを示し、その微分方程式系の singular locus を決定した。そして、9つの解の級数表示と積分表示を与えた。また、singular locus の補集合の基本群の生成系を与え、この超幾何微分方程式系のモノドロミー表現を決定した。このモノドロミー表現が既約になるためのパラメーターに関する条件を決定している。 多変数超幾何微分方程式系 Lauricella's F_D には、解の線積分表示が知られている。その積分表示からねじれホモロジー群と局所有限なねじれホモロジー群をファイバー空間とするとする2つの局所系が得られる。これらの局所系はパラメーターが整数になる場合、モノドロミー表現が可約になってしまうが、そうなっても有効なモノドロミー表現を2つのホモロジー群間にある交点形式を用いて表示した。ここで得られたモノドロミー表現は、一般には超幾何微分方程式系 Lauricella's F_D のものとは異なるが、両者が一致するための十分条件を与えた。 多変数超幾何微分方程式系 Lauricella's F_C のモノドロミー表現が、パラメーターのある1次結合たちの非整数条件下で既約になることの証明を与えた。また、これらの1次結合のうち、ひとつが整数になる場合に、モノドロミー表現が可約になることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究の成果として、rank 9 の2変数超幾何微分方程式系の研究論文が出版されている。そしてさらなる一般化の研究方針が明確になっており、その種々の拡張についての研究がすでに始まっている。 モノドロミー表現の既約性の研究は始めたばかりであるが、掲載予定となっている論文が1編、arXiv に公開中のものが1編あり、早々に結果が得られている。 また、モノドロミー表現が可約となるK3曲面族の周期写像を Mixed Hodge Structure を用いて構成に成功し、その類似に関する研究の取組を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
rank 9 の2変数超幾何微分方程式系のモノドロミー表現が可約になる場合、その不変部分空間の特徴づけを研究する。また、この微分方程式系のさらなる一般化として m 変数超幾何微分方程式系で rank が p の m乗となる方程式系を研究する。 代数多様体の周期写像の研究では、モノドロミー表現が既約になることを仮定して研究が行われてきた。可約になっても有効なモノドロミー表現を用いて、モノドロミー表現が可約になる場合の周期写像を研究する。
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Causes of Carryover |
2017日本数学会への参加旅費が当初予定より少なく済んだため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費もしくは消耗品の購入にあてる予定。
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Research Products
(5 results)