2020 Fiscal Year Research-status Report
大域的F正則性,ファノ多様体とフロベニウス直像の有限性
Project/Area Number |
16K05092
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
原 伸生 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90298167)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有限F表現型(FFRT) / del Pezzo曲面 / 正標数 / フロベニウス直像 / 反標準環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の中心的な興味の対象の一つは,正標数の可換環に関する有限F-表現型(FFRT性)とよばれる性質である.本課題ではこの FFRT 性を,正標数の代数多様体上のフロベニウス射の直像を調べることにより,代数幾何学的な視点から考察している. 本年度は,5次 del Pezzo 曲面 X の反標準環の有限F-表現型(FFRT性)に関して,標数 p=2,3 の場合に得られていた,反標準束 L=-K_X の n重テンソル積のフロベニウス直像 F^e_*(L^n) の直既約ベクトル束への直和分解に関する結果を,一般の標数 p>0 に拡張することを試みたが,標数 p=2,3 で用いた方法(非特異な 5次 del Pezzo 曲面が,射影平面上の一般の位置にある 5点を爆発して得られることを用いる)では達成できなかった.代替手段として,5次 del Pezzo 曲面が,5本の射影直線の直積多様体に対角作用する特殊線型群 SL(2) による GIT 商 P_1^5 としての構造をもつこと(Dolgachev-Ortland による)を用いる方法の有効性について検討を開始した. また,2次元正規次数環の FFRT 性に関する大川領氏との共著論文の掲載決定(Advances in Mathematics vol. 370 (2020), 107215, 37 pages)に伴い,同論文の査読コメントに対応して最終修正を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般の標数 p における 5次 del Pezzo 曲面上の FFRT 性が目標だが,現状は p=2, 3 のみに留まっている.
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Strategy for Future Research Activity |
標数 2, 3 の場合についての部分的結果を投稿できる形にまとめると同時に,5次 del Pezzo 曲面の GIT 商 P_1^5 としての構造を用いる方法など,従来とは異なる視点,方法を検討する.
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Causes of Carryover |
COVID-19 の影響により,旅費支出が全くなかったこと,また教育面でのコロナ対応に忙殺され,研究用の物品費の使用が大幅に減少したことにより,次年度使用額が生じた.これをオンライン研究集会用のPC,図書の購入などに使用する予定である.
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Research Products
(1 results)