2018 Fiscal Year Research-status Report
マンフォード-テイト領域のコンパクト化とlog幾何
Project/Area Number |
16K05093
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中山 能力 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70272664)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 代数幾何 / ホッジ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究はマンフォード‐テイト領域の部分コンパクト化を、log 幾何を用い、代数群の作用付き対数ホッジ構造のモジュライ空間として構成することを目ざすものであった。30 年度は、研究協力者のシカゴ大学の加藤和也教授、大阪大学の臼井三平教授と共同で、理論の細部についての議論をさらに深め、また関連して、研究協力者の東京電機大学の藤澤太郎教授と共同で、幾何的対数ホッジ構造についての研究を行ない、その成果を取りまとめた論文を執筆した。 その概要は以下の通りである。1. 偏極対数ホッジ構造の定義の復習。ここでは対数エタール位相で考えることが本質的である。2. 主定理。この論文の主題は、どんな特異点も許す全く一般の対数解析空間上の幾何的対数ホッジ構造の構成であり、対数幾何の長年の懸案への試みである。主結果は、一般の対数解析空間上でレフシェッツ分解が成り立つこと、ホッジ‐ド・ラームのスペクトル系列が退化すること、そして、対数階数が1以下の対数解析空間上では予想通り、幾何的対数ホッジ構造が構成できることである。3. 先行結果の復習。証明は、対数点上の semistable 族の場合への帰着によって行われるので、その結果を復習している。4. 偏極の可換性。技術的に最も難しい所であるが、幾何的な構造と Koszul 複体によるホッジ理論的な構造とを比較している。5. レフシェッツ分解と、スペクトル系列の退化の証明。6. 対数階数が1以下の対数解析空間上では幾何的対数ホッジ構造が構成できることの証明。また、この主定理において、対数階数が1以下の仮定を取り除くためには、どのようなことが必要かについての議論を含んでいる。7. 対数ピカール多様体と対数アルバネーゼ多様体。以上の主結果を応用し、対数ピカール多様体と対数アルバネーゼ多様体を対数階数が1以下の一般の対数解析空間上で定義し、その性質を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究はマンフォード‐テイト領域の部分コンパクト化を、log 幾何を用い、代数群の作用付き対数ホッジ構造のモジュライ空間として構成することを目ざすものであるが、3年目で理論の細部の検証に入っており、関連した対数的 motif および幾何的対数ホッジ構造の研究も進んでいるため、おおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の予定通り、研究協力者の加藤和也教授、臼井三平教授、伊藤哲史准教授、藤澤太郎教授と緊密に連絡を取り合い、マンフォード‐テイト領域の種々の部分コンパクト化の詳細についての研究、関連して対数的 motif 理論、また幾何的対数ホッジ構造の研究などに取り組む方針である。
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Causes of Carryover |
予定していた招聘者が都合により招聘できなくなったため。次年度に他の招聘を行なう計画である。
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Research Products
(3 results)