2020 Fiscal Year Research-status Report
マンフォード-テイト領域のコンパクト化とlog幾何
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16K05093
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中山 能力 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70272664)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ホッジ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究はマンフォード‐テイト領域の部分コンパクト化を、log 幾何を用い、代数群の作用付き対数ホッジ構造のモジュライ空間として構成することを目指すものであった。2020年度は、今までに得られた成果を踏まえ、まとめの論文の執筆を進め、現在 100 頁超の草稿がある。 現在の草稿の目次は以下の通りである。1. 代数群の作用付きホッジ構造のモジュライ空間の定式化。2. Borel-Serre 型の部分コンパクト化の構成。3. SL(2) 軌道による部分コンパクト化の構成。4. 冪零軌道による部分コンパクト化の構成とその応用。 このうち 2020 年度において特に進展があった点は以下の通りである。まず 1 において、数論的部分群の条件の各種設定を比較検討し、作用する代数群の交換子群の有理点のなす群の部分群であって整数構造を保つものとする設定がいろいろな場面で最も効果的であることを見出し、その設定で原稿全体を統一した。2 において、Borel-Serre の理論を援用することによって必要な結果が得られることを確認した。3 における技術的な困難を、parabolic な部分群とワイル扇の関係を系統的に用いることにより克服した。4 はいわゆる混合加藤‐臼井空間の代数群の作用付き版であり、メインの部分コンパクト化であるが、先行研究の証明の多くの誤りを修正した。その上で基本集合が開集合であることを示さなければならなかったが、代数群の準同型空間の共役関係の理論を用いることによって証明することができた。現在各種応用および先行研究で構成された部分コンパクト化と今回得られた部分コンパクト化との正確な関係を研究中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究はマンフォード‐テイト領域の部分コンパクト化を、log 幾何を用い、代数群の作用付き対数ホッジ構造のモジュライ空間として構成することを目指すものであるが、5年目にまとめの論文の主要な部分が完成し、関連した研究も進んでいるため、おおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021 年度は、大阪大学、シカゴ大学の共同研究者と緊密に連絡を取り合い、2020 年度に得られた草稿に基づき、明らかになった諸課題に取り組みつつ、マンフォード‐テイト領域の種々の部分コンパクト化についての定理の応用および先行研究との関係を研究する方針である。新型コロナウイルス感染症対策のため、直接会合を持つことができない場合は、web 会議システムなどを利用して対応する予定である。
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Causes of Carryover |
参加が予定されていた複数の研究集会が新型コロナウイルス感染症対策のため中止になったため。次年度使用額は online 環境などを整えるための、各種機材、消耗品などを購入する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] On log motives2020
Author(s)
Tetsushi Ito, Kazuya Kato, Chikara Nakayama and Sampei Usui
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Journal Title
Tunisian Journal of Mathematics
Volume: 2
Pages: 733-789
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research