2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川ノ上 帆 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (50467445)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 代数幾何学 / 特異点解消 / IFP |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き3次元の多様体の埋め込み特異点解消について研究を行なった.当初の予定ではこの年度で3次元の特異点解消が確立することを期待していたが,状況が予想以上に複雑であり,研究の進展はあったものの未だ解決を見ていない.以下研究内容に従って個別に研究の内容と成果を述べる. 5月から8月の三ヶ月間は共同研究者であるPurdue大学の松木謙二氏が数理研に滞在し議論を行なった.松木氏の提案するアルゴリズムを精査するというのが主要な内容であった.現れる例外因子の種類と交わり方によって多くの場合分けが発生し,彼のアルゴリズムはその全てをカバーするものではないが,幾つかの場合については良く機能し全ての場合に統一的に繋がると期待できることがわかった.その一方で,3次元の場合に現れる新しい困難を克服する上で参考とするためにウィーン大学のPerlega氏を4月と7月にそれぞれ3週間程招聘した.氏は正標数2次元の特異点解消について剰余重複度の自然な一般化を用いた新しい証明を与えており,また剰余重複度が無限に増加する例を構成するなど我々の研究に関連する一連の興味深い仕事をしている.松木氏も交え三人で集中的に議論して彼の研究の成果と手法を吸収した.今回得られた知見は高次元の場合も含め今後の研究に大いに役立つと考えている.10月には廣中平祐先生の主催する勉強会に参加した.これは廣中先生がHarvard大学のウェブページにおいて公開した正標数一般次元の特異点解消についての論文を学ぶための会合であった.毎日廣中先生の解説を聞き,同分野の研究者たちと議論した結果,細部については不明な点も多いが様々な新しいアイディアが含まれていることがわかった.11月から1月まではウィーン大学に滞在し,Hauser教授やPerlega氏と剰余重複度やその他の特異点解消に関連する問題について議論を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は当初3次元多様体の埋め込み特異点解消を確立する予定であったが,これが適わなかったため順調とは言い難い.しかし一方で一般次元の場合にも通用する新しい知見を得たので完全に遅れているわけではないと判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き3次元多様体の特異点解消について研究を進める.
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Causes of Carryover |
ノートパソコンを購入する予定であったが現在使用中のものがまだ使えたので次年度に購入することにした.
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