2017 Fiscal Year Research-status Report
良い頂点彩色を持つ凸多面体及び多様体の単体分割の研究
Project/Area Number |
16K05102
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村井 聡 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (90570804)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 単体的複体 / スタンレー・ライスナー環 / local h-vector / レフシェッツ性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではbalancedと呼ばれる良い彩色構造を持つ単体分割の組合せ構造に関する研究を行っている。本研究の主要な目的の一つは, completely balancedと呼ばれる彩色条件を満たす単体的凸多面体について知られている Balanced Generalized Lower Bound Theoremと呼ばれる定理を, より一般の a-balanced と呼ばれる条件の場合に一般化することである。この問題の研究において、a-balancedな多面体の単体分割のスタンレー・ライスナー環を、彩色から誘導される巴系で割って得られるアルチン環がレフシェッツ性と呼ばれる環の性質を満たすか、という問題を調べることが問題解決のための重要な課題の一つであった。この問題に関し, David Cook II, Martina Juhnke-Kubitzke, Eran Nevoらとのの研究により (1,1,1)-balancedの場合にはレフシェッツ性を持ち, (2,1)-balancedの場合には必ずしもレフシェッツ性を持たないという結果を得た。また、可換環論の分野において、全ての完全交差環が標数0の体上でレフシェッツ性を持つか調べよ、という未解決問題があるか、この問題について、Martina Juhnke-Kubitzke, Rosa Miro-Roig, Akihito Wachiらとともに、次数2の二項式で一次式の積である多項式で生成される完全交差環がレフシェッツ性を持つという結果を得た。加えて、単体分割の面の個数を調べる際に重要な不変量の一つであるlocal h-vectorと呼ばれる不変量に関し, Martina Juhnke-Kubitzke, Richard Siegらとともの重心細分を取ったときのlocal h-vectorに関するAthanasiadisの問題を肯定的に解決するという研究成果も得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標の一つであった、(1,1,1)-balanced及び(2,1)-balancedな凸多面体のスタンレー・ライスナー環のレフシェッツ性に関する問題の解決を得ており、現在までの研究は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において、辺の個数の場合に、balanced Generalized Lower Bound Theoremを凸多面体の場合から多様体の単体分割の場合に一般化することに成功し、さらに、balancedな凸多面体のスタンレー・ライスナー環がレフシェッツ性を持つか?という問題を3次元の場合に解決することに成功した。今後はこれまでで得た結果で用いられた証明手法をさらに発展させ、上記二つの結果を高次元の面の個数や高次元の凸多面体に一般化することを目指す。
|
Causes of Carryover |
予定していたスウェーデンとメキシコでの研究集会の旅費について、滞在費が現地研究機関により補助された為、次年度使用額が発生した。次年度使用額は6月, 10月にカナダで開催される国際研究集会「New Trends in Syzygies」及び「 Hessenberg Varieties in Combinatorics, Geometry and Representation Theory」に参加し、スタンレー・ライスナー環の研究に関する情報収集の為の渡航費として使用する予定である。
|
Research Products
(10 results)