2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05106
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宮岡 洋一 中央大学, 理工学部, 教授 (50101077)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 作用付き層 / 半安定性 / 制限定理 / テンソル積定理 / Bogomolov 不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒッグス層を一般化したベクトル束の作用つき層の一般理論を研究した。作用付きの層についても、通常の層と同様の諸定理がかなりの程度成立する。例えば、Mehata-Ramanathan 型の制限定理や、標数0では半安定層のテンソル積はふたたび半安定であるという、テンソル積定理が成り立つ。正標数においては、テンソル積定理は成立しないことがあるが、成立しない理由も完全に説明できる。このような一般化の根拠となるのは、曲線上の半安定な作用付き層が、変形を豊富に持ち、適当な底変換を行なった後では、通常のベクトル束として半安定なものにまで変形できるという事実である。このような変形を構成するために、本研究では twist と呼ばれる改変操作を考案し、証明に用いた。Twist は与えられた作用付き層から新しい作用付き層を作り出す新しい方法として有用である。 一方、半安定束の Chern 類に対する Bogomolov 不等式は、作用するベクトル束に条件をつけない限り、一般の作用付き層では成立しない。本年度の研究では、作用する束が直線束 L である場合、Bogomolov 不等式が常に成り立つための条件を完全に決定した。それは L の双対が巨大でないこと、言い換えれば Lが擬有効錐の閉包に属することである。作用する束の階数が高い場合、 Bogomolov 不等式を成り立たせる条件は、まだ完全には決定できないため、これが次年度の研究課題となrる。標数0において、接束はこの条件を満足し、したがって半安定 Higgs 層については Bogomolov 不等式が成立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想される基本定理のうち、正弦定理、テンソル積定理については完全に解決した。最後の Bogomolov 不等式については、 作用するベクトル束の階数が1の場合には、不等式が常に成立するための必要十分条件を与えた。
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Strategy for Future Research Activity |
作用するベクトル束の階数が高い場合について、 Bogomolov 不等式が成立するための必要十分条件を決定したい。応用がある十分条件ならば、すでに結果が若干ある。
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Causes of Carryover |
本年度は学科主任を務めたため、予定していた出張ができなかった。次年度は、研究成果発表のため、出張回数が増えることが予想されるため、資金を有効に使える見込みである。
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