2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K05106
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宮岡 洋一 中央大学, 理工学部, 教授 (50101077)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ベクトル束作用付き層 / テンソル積定理 / Bogomolov 不等式 / 素数定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
Higgs 束を一般化した可積分ベクトル束作用をもつ半安定層、すなわちベクトル束が生成する対称テンソル代数をもつ半安定加群の一般論を構築した。この理論の主要な柱は,第1に 構造付き半安定性が一般長曲面切断への制限で保たれるという Mehta-Ramanathan 型正弦定理,第2に半安定性がテンソル積によって保たれるというテンソル積定理,そして第3に,特別な性質を有するベクトル束が作用する半安定層の第1第2チャン類が満たす Bogomolov 不等式である。 第2,第3の結果は,ベクトル束の作用を変形する「ツイスト」なる手法が用いられるが、トポロジーにおける Dehnn twist の類似物である。上記の3つの結果は理論それ自身も重要であるが,一方応用も期待できる。I. Reider は古典的 Bogomolov 不等式が様々なこホモロジー消滅定理を導くことに着目し,代数曲面の線型系理論に革命をもたらしたが,拡張された Bogomolov 不等式は Reider 理論をさらに一般化すると考えられる。 2018 年度に上記の研究と平行して行ったのが,新しい手法による素数定理の初等的証明である。あたえられた数値以下の素数の個数を評価する素数定理は古典的な結果であるが,複素関数論を用いない初等的な証明を与えることは興味がある。そのようなものとしては,60年代に Erdos と Selberg が独立に与えた証明があるが,我々の証明はより古い Chebishev の方法に基づいてより簡明であり,また途中の議論をさらに精密化すれば素数分分布密度関数の誤差評価を従来より精密化できるの可能性を秘めているのではないかと考える。 以上二つの結果は研究論文にまとめるべく,準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Bogomolov 不等式が成立するために作用ベクトル束が満たすべき性質の解明に手間取り,理論の完成が渡渉予定より2年間遅れた。その間、正標数の方法を用いる A. Langer による代数的証明が発表されるなどして,研究の新味が多少削がれた感は否めない。しかし我々の方法は Langer のものよりはるかに一般的な枠組みで使用できるため,それなりの意義はあると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた結果を整理して、論文化する。
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Causes of Carryover |
研究成果発表と研究連絡のための海外出張を2回予定していたが,結果の完成が遅れたことと、教務等の都合が重なって出張が1回に留まったので、未使用枠が生じた。2019 年度に2回の海外出張を行なって使用する予定である。
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