2019 Fiscal Year Annual Research Report
Algebraic theory of Higgs sheaves and its applications
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16K05106
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宮岡 洋一 中央大学, 理工学部, 教授 (50101077)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒッグス束 / 可積分作用をもつ層 / Mehta-Ramanathan 型制限定理 / テンソル積保存定理 / Bogomolov 不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに完成していた、層作用をもつ半安定ベクトル束に対する Mehta-Ramanathan 型超曲面制限定理、および可積分作用をもつ半安定ベクトル束に対するテンソル積保存定理を受けて,今年度は、半安定ヒッグス束のチャン類に対する Bogomolov 型不等式の証明を行った。Bogomolov 不等式そのものは C. Simpson, T. Mochizuki, A. Langer nによって証明されているが,彼らの方法は微分方程式や p 進 Hodge 理論を用いる難解なものであった。これに対してわれわれの方法は諸島的かつ純代数的である。その概要は,以下の通りである。1)Mehta-Ramanathan 制限定理により.問題を曲面上に還元する。2) 元の Higgs 束を含み、と有限個の点以外では同一の Higgs 束を構成し,このより大きな Higgs 束がベクトル束として半安定な相対 Higgs 束に変形できることを示す。3)新しい相対 Higgs 束の対称テンソル積の第1コホモロジー群の次元を下から評価して Riemann-Rocho 定理により最終的に求める不等式を得る。 以上によって半安定 Higgs 束に対する基本的な3つの結果(超曲面への制限による半安定性保存、テンソル積による半安定性保存、Bogomolov 不等式)」のすべてが諸島的に証明されるとともに、可積分条件接束の作用(Higgs 条件)がなぜ必要となるかのメカニズムが明快に説明できたことになる。 Bogolov 不等式の証明には予想外に時間を費やしたが,その理由はもともとの Higgs 束はた一般に変形をもたないことにある。この Higgs 束をより大きな Higgs 束でおきかえることによっって非自明な変形をもつようにできる、という発見が解決の鍵となった。
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