2017 Fiscal Year Research-status Report
アファイン有向マトロイドの位相的研究への可換代数の応用
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16K05114
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
柳川 浩二 関西大学, システム理工学部, 教授 (40283006)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アファイン有向マトロイド / 組合せ論的可換代数 / 極小自由分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の中核的な問題に関する最初の論文(岡崎亮太氏との共著)は、2016年内に一旦完成し、学術雑誌に投稿していたが、2017年秋に査読者の助言を取り入れた大幅な改訂を行った後、2018年に入ってから受理・出版された。これで、本課題はひとまずの達成を得たことになる。ただし、「アファイン有向マトロイド M に付随する単項式イデアルがCohen-Macaulay ならば、M の有界複体は球と同相であろう」と言う、本課題の申請書類でも述べた「主予想」は未解決なまま残っている(上記の論文では、様々なエビデンスや関連する結果を示したのみ)。予想本体の証明の探求は膠着状態であるが、その周辺事項に関して幾つかの新結果を得ており、さらなる進展を試みた上で、論文にまとめる予定である。 有向マトロイドは超平面配置の抽象化であるが、視野を広げる為に、部分空間配置と関連する Specht ideal (Specht多項式が生成するイデアル)の研究を、2016年度後半から行っている(東海大学名誉教授の渡辺純三氏との共同)。こちらは2017年度に大きな進展が有り、論文を一本投稿中である他、続く論文を書くに十分な材料が揃いつつある。Specht多項式を扱う以上、対称群の表現論と関連するのは当然として、Gorenstein liaison や principal radical system などの、可換環論の(半)古典的な話題との関連が明らかになりつつある。Specht ideal は、本課題の本筋である有向マトロイドより、環論色が強く位相幾何色が弱いのであるが、技術的には共通する部分が多く、本筋へのフィードバックが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況を評価することが、やや難しい状態である。ある程度まとまった理論の構築に成功し、論文も出版されたが、反面、当初に設定した予想自体は未解決のまま残っている。一方、ある種「スピンオフ」として始めた Specht ideal の研究は極めて順調である。両者には技術的共通点も多いが、と言って本筋へのフィードバックは未だ余り無い。 以上より、トータルでは「おおむね順調」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本筋であるアファイン有向マトロイドについては、今回の論文出版で一定の達成を得たと判断し、(現在得られつつある結果については、2018年度内に新たな論文にまとめるとして)、派生的な題材であり、現在非常に順調に進んでいる Specht ideal の研究に、重心を移したい。ただし、研究課題の本筋へのフィードバックには、常に留意しておきたい。
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Causes of Carryover |
2017年度は、ほぼ本来の予定額を支出したが、2016年度分からの繰越しが全く消化できなかった形である。なお、2016年度に多額の繰越しが発生した理由は、当該年度に本務校で学科の教育主任として多忙であり、研究時間が削られたこと、特に、海外出張ができなかったことによる。また、2017年度に前年度からの繰越しが消化できなかったのは、例年参加している研究集会が関西地区で開催されるケースが多く、旅費が少なかったこと等が上げられる。 2018年度は、本課題の最終年度として、海外の研究集会も含め、成果発表に力を入れる予定であり、一昨年度からの繰越しも含め、十分に消化できると考えている。
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Research Products
(3 results)