2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05116
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
諏訪 立雄 北海道大学, ー, 名誉教授 (40109418)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 幾何学 / 複素解析幾何学 / 相対コホモロジー / 特性類の局所化 / 局所双対性 / 留数 / 佐藤超関数 / 特異葉層構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 相対 de Rham, 相対 Dolbeault, 相対 Bott-Chern 等のコホモロジーを用いて, 主として複素解析幾何学に現れる特性類の局所化を調べ, さらにそろぞれの場合に局所双対性によって得られる留数を明示的に求めることである. 平成 29 年度はこの方法の応用として次の課題につき実績をあげた. 1. 関数の概念を大幅に拡張するものとして佐藤超関数がある. これは局所コホモロジーを用いて自然に定義され, 微分方程式論等で極めて強力なものばかりでなく, 代数解析学の端緒となったものであるが, 実際に用いるには具体的に表す必要がある. 今まではあまり簡明な方法がなかったが, 本研究代表者諏訪は相対 Dolbeault コホモロジー類を用いると簡明に表示出来ることを見出した. これに関する昨年度からの継続として, 超関数の基本的演算の他, 超局所解析性, boundary value morphism 等の具体的表示を与えた. これは北海道大学の本多尚文, 北海道科学大学の伊澤 毅との共同研究として行われている. 2. 上記の相対コホモロジー理論を一般化し, 軟層の複体に対しその切断のなす加群の相対コホモロジー理論を展開した. さらにこれを層の射のコホモロジーの軟層分解による表現理論に拡張した. これはマイクロ関数の明示に有用であると思われる. 3. 相対 Dolbeault コホモロジーの応用として, 複素多様体の blowing up による Hodge 構造の挙動について明示的結果を得た. これはフィレンツェ大学 D. Angella, ピサ大学 N. Tardini, パルマ大学 A. Tomassini との共同研究として行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究代表者が推し進める特性類の局所化理論が発展し, さまざまな方面での応用を見ている. 特に当初予期されなかったこととして, 佐藤超関数およびそれに関連した演算, 局所双対性等が相対 Dolbeualt コホモロジー理論を用いると極めて簡単で明示的に表せることが見出された. これにおいても, 以前より多方面で有効に用いられていた相対 de Rham コホモロジーでの Thom 類が重要な役割を果たす.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究を継続し, さらにつぎのような課題につき研究を行う. 1. 相対 Dolbeault コホモロジーによる超関数, マイクロ関数の表示をさらに追求する. 2. 相対 Dolbeault コホモロジーにおける局所双対性につきさらに探求し, 例えば複素解析的 Lefschetz 不動点定理の簡明な証明および拡張を試みる. 3. 相対 Bott-Chern コホモロジーにおいても Thom 類を定め, Riemann-Roch 定理等への応用を図る.
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Causes of Carryover |
次年度ブラジルからの共同研究者招聘予定が生じたため, 平成 29 年度経費を多少節約した.
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