2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05116
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
諏訪 立雄 北海道大学, 理学研究院, 名誉教授 (40109418)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 幾何学 / 複素解析幾何学 / 特性類の局所化 / 相対コホモロジー / 留数 / ホッジ構造 / 佐藤超関数 / 特異多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 相対 de Rham, 相対 Dolbeault, 相対 Bott-Chern 等のコホモロジーを用いて, 主として複素解析幾何学に現れる特性類の局所化を調べ, さらにそれぞれの場合に局所双対性によって得られる留数を明示的に求め, その応用を図ることである. 2020 年度は COVID-19 の影響で直接議論による研究打ち合わせ, 口頭による研究発表に大きな制約を受けた. そのため, この機会に今までに築いた理論を再整備をし, 将来のさらなる発展に備えることにも力を注いだ.
相対 de Rham コホモロジーにおける Thom 類, 相対 Dolbeault コホモロジーにおける解析的 Thom 類を用いた複素多様体の Hodge 構造の blowing-up における挙動について, イタリア人研究者達と共同研究を行ってきた. これに関して Deligne-Griffiths-Morgan-Sullivan の deldelbar-補題の詳細な特徴づけを行い, 共著論文として仕上げ発表した.
研究代表者は自身の展開する特性類の局所化理論に基づく複素解析幾何学の本の執筆を数年前に依頼され, 折をみて書き進めていた. この機会に, 組み合わせ位相幾何による幾何的交叉理論, Hodge 構造, スペクトル列の理論, 一般の複素解析空間, ベクトル束の特性類の切断の族による局所化, 局所化された解析的交叉理論, 埋め込みに対する局所化された Riemann-Roch の定理等につき詳細な考察を行い書き加え, 完成に近づけた. これは複素解析幾何学および関連分野における基礎的な書物となることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究代表者が推し進める局所化理論が発展し, さまざまな方面での応用が見出されている. 研究実績の概要欄で述べた Hodge 構造の研究等への応用の他, 当初予期されなかったこととして, 佐藤超関数およびそれに関連した演算, 局所双対性等が相対 Dolbeault コホモロジー論を用いると簡明かつ明示的に表せることが分かり, 超関数論の新たな展開を見た. これにおいても相対 de Rham コホモロジーにおける Thom 類が重要な役割を果たす.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの研究を継続し, その発展としてつぎのような課題につき研究を行う. 1. 相対 de Rham, 相対 Dolbeault コホモロジーを用いた Hodge 構造の研究を継続する. 特に相対 Dolbeault コホモロジーにおけるファイバー積分の改良の着想を得ているので, これを追求し Hodge 構造の blowing-up での挙動に関するイタリアの共同研究者達とのこれまでの結果をより良いものとする. 2. 相対 Bott-Chern コホモロジー論においても, ベクトル束の切断の族による局所化理論を展開する. 特に Thom 類を定め, 埋め込みに対する Riemann-Roch の定理を相対 Bott-Chern コホモロジーに局所化された形で示し, その応用を図る. 3. 数論的特性類・交叉理論ではエルミートベクトル束の Bott-Chern 形式の理論が基本的役割を果たす. 特にエルミート計量が特異点を持つ場合には我々の展開した Cech-Bott-Chern コホモロジーが有用と思われ, これを追求する.
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Causes of Carryover |
(理由) 研究代表者は, 令和 2 年 6 月末- 7 月初, イタリア・トレントでの研究集会に主講演者として招待されていた. またパルマ大学・A. Tomassini, フィレンツェ大学・D. Angella 等と当該研究課題に関する共同研究を行っており, これら大学の訪問も要請されていた. これらを遂行するために経費を確保しておいたが, COVID-19 の世界的流行により実施不可能になった. (使用計画) 当該研究課題に関わる研究発表および研究協力者との研究打合せ旅費として, また当該研究課題の遂行に必要なコンピュータ機器, 図書, 文具の購入に用いる予定である.
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