2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05116
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
諏訪 立雄 北海道大学, 理学研究院, 名誉教授 (40109418)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 幾何学 / 複素解析幾何学 / 特性類の局所化 / 相対コホモロジー / 留数 / ホッジ構造 / 佐藤超関数 / 特異多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 相対 de Rham, 相対 Dolbeault, 相対 Bott-Chern 等のコホモロジーを用いて, 主として複素解析幾何学に現れる特性類の局所化を調べ, さら にそれぞれの場合に局所双対性によって得られる留数を明示的に求め, その応用を図ることである. 2021 年度は前年度に引き続き COVID-19 の影響で直接議論による研究打ち合 わせ, 口頭による研究発表に大きな制約を受けた. そのため, この機会に今までに築いた理論を再整備をし, 将来のさらなる発展に備えることにも力を注いだ.
Springer 社より, "Handbook of Geometry and Topology of Singularities" というシリーズが刊行されている. これは世界中の特異点研究者の専門分野の概説を集めたものである. 研究代表者も執筆を依頼され, "Residues and hyperfunctions" という題で執筆した. まず相対 de Rham コホモロジーの場合, ベクトル束の切断による局所化, Bott 型消滅定理による特異葉層構造の留数につき詳細に述べた. 相対 Dolbeault の場合は研究代表者によって見出された佐藤超函数論の明示的表現およびその応用につき述べた.
研究代表者は自身の展開する特性類の局所化理論に基づく複素解析幾何学の本の執筆を数年前に依頼され書き進めていた. この機会に, 組み合わせ位相幾何による幾何的交叉理論, Hodge 構造, 複素解析空間, ベクトル束の特性類の切断の族による局所化, 局所化された解析的交叉理論, 埋め込みに対する局所化された Riemann-Roch の定理等につき詳細な考察を行い書き加え, 完成に近づけた. これは複素解析幾何学および関連分野における基礎的な書物となることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究代表者が推し進める局所化理論が発展し, さまざまな方面での応用が見出されている. Hodge 構造の blowing-up での挙動に関する研究への応用等の他, 当初予期されなかったこととして, 佐藤超関数およびそれに関連した演算, 局所双対性等が相対 Dolbeault コホモロジー論を用いると簡明かつ明示的に表せることが分かり, 超関数論の新たな展開を見た. これにおいても相対 de Rham コホモロジーにおける Thom 類が重要な役割を果たす. さらに相対 Bott-Chern コホモロジーで Thom 類を考えることが出来, これはより精密な情報を含む.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの研究を継続し, その発展としてつぎのような課題につき研究を行う. 1. 相対 de Rham, 相対 Dolbeault コホモロジーを用いた Hodge 構造の研究を継続する. 特に相対 Dolbeault コホモロジーにおけるファイバー積分の改良の着想を得ているので, これを追求し Hodge 構造の blowing-up での挙動に関するイタリアの共同研究者達とのこれまでの結果をより良いものとする. 2. 相対 Bott-Chern コホモロジー論においても, ベクトル束の切断の族による局所化理論を展開する. 特に Thom 類を定め, 埋め込みに対する Riemann-Roch の定理を相対 Bott-Chern コホモロジーに局所化された形で示し, その応用を図る. 3. 数論的特性類・交叉理論ではエルミートベクトル束の Bott-Chern 形式の理論が基本的役割を果たす. 特にエルミート計量が特異点を持つ場合には我々の展 開した Cech-Bott-Chern コホモロジーが有用と思われ, これを追求する.
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Causes of Carryover |
(理由) 計画していた研究協力者との研究打合せ, 研究発表のための旅行につき, COVID-19 の世界的流行により, 国外分は全く, 国内分もほとんど実施出来なかった. (使用計画) 当該研究課題に関わる研究協力者との研究打合せおよび研究発表のための旅費として, また当該研究課題の遂行に必要なコンピュータ機器, 図書, 文具の購入に 用いる予定である.
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