2020 Fiscal Year Research-status Report
等質および局所等質多様体上の複素幾何構造についての研究
Project/Area Number |
16K05123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷川 敬三 大阪大学, 理学研究科, 招へい教授 (00208480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神島 芳宣 城西大学, 理学部, 客員教授 (10125304)
塚田 和美 お茶の水女子大学, 名誉教授 (30163760)
守屋 克洋 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50322011)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ユニモジュラー・リー群 / 佐々木構造 / Vaisman構造 / CR構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題における主結果として,論文「D. Alekseevsky, K. Hasegawa and Y. Kamishima, Homogeneous Sasaki and Vaisman manifolds of unimodular Lie groups」Nagoya Mathematical Journal, Vol. 8 (2019),において,単連結ユニモジュラー等質Vaisman多様体および等質佐々木多様体の構造定理を示し,目標としていた分類問題を解決した。この結果に基づき,ユニモジュラー・リー群上の (不変な) 佐々木およびVaisman構造を完全に決定できた。すなわち,対応するリー環の言葉で述べると,改変 (Modification) を除いて「ユニモジュラーVaismanリー環はR x sl(2), R x su(2), R x hのいずれか」に分類され,したがって同様に,改変 (Modification) を除いて「ユニモジュラー佐々木リー環はsl(2), su(2), hのいずれか」 に分類さる。ここでhはハイゼンベルグ・リー環である。これらのうち,R x sl(2), R x su(2)のModificationは自明であり,R x hのModificationとしてのユニモジュラー可解リー群を完全に決定した。さらに,これらのリー環上の(Vaisman構造の有無に関わらない)左不変な複素構造を決定できた。この結果は2020年4月 (2021年5月に改訂) にプレプリント「Unimodular Sasaki and Vaisman Lie groups, V. Cortes and K. Hasegawa」arXiv:2004.02112)」として公開し,現在,学術雑誌に投稿中である。さらに発展的な研究として,佐々木構造を強擬凸CR構造でいわゆる正規条件 (normality)を満たすものとして捉え,上記の結果の拡張としての「ユニモジュラー強擬凸CRリー群 (リー環) および等質多様体の決定問題」に現在取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に述べた様に,本研究課題における主要な結果を含む論文「Homogeneous Sasaki and Vaisman manifolds of unimodular Lie groups」は国際的な学術誌であるNagoya Mathematical Jounal (2019)に掲載された。さらに,上記の結果に基づき「ユニモジュラー佐々木およびVaismanリー群の完全な分類」を得て,現在,学術誌に投稿中である。研究活動の一環として,第6回国際研究集会「Complex Geometry and Lie Groups」2021年2月15日-20日,新潟市,をオンライン開催した。6日間で講演数25,参加登録者数は約150名と比較的規模の大きな研究集会にできた。また,組織委員,講演者および参加者の間の研究交流を円滑に行える様に,オンラインのコミュニケーション・プラットホームのSLACKを立ち上げ,より充実した研究集会にすることができた。オンラインの研究会を円滑に組織できたことで,今後の研究会や研究交流のあり方に新たな可能性を広げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
佐々木構造は強擬凸CR構造でいわゆる正規条件 (normality)を満たすものとして捉えられます。今後の発展的な研究テーマのひとつとして,現在「ユニモジュラー・強擬凸CRリー群および等質CR多様体の分類」の問題に取りかかっている。例えば,「冪零強擬凸CRリー群は佐々木リー群であり,したがってハイゼンベルグ・リー群である」との予想をしている。一方,関連して,上記のプレプリント「Unimodular Sasaki and Vaisman Lie groups」において,冪零Vaisman Lie群はハイゼンベルグ・リー群と実数Rの直積に同型であることを示したが,同時にこれらの上の (Vaisman構造の有無に関わりのない) 等質複素構造を決定し,それらは全て複素アファイン空間に双正則同型であることを示した。一般の偶数次元の冪零リー環上の複素構造に関しての予想として,「偶数次元の冪零 Lie 群上の等質複素構造は複素アファイン空間に双正則同型である」また「冪零 Lie 群上の等質複素構造の変形はまた等質であり,したがって複素アファイン空間に双正則同型である」も長年抱えてきた問題である。強擬凸CRリー群との関連において研究を継続したい。
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Causes of Carryover |
2020年5月に新潟市において開催を予定していた国際研究集会「Complex Geometry and Lie Groups」は新型コロナ感染症の世界的な拡大により,2021年2月15日-20日の日程でオンライン開催となった。研究者招聘,会場の設営等の費用に当研究費を当てる予定であったが,オンライン開催となったため,オンライン機器の購入費用を除く余剰分を次年度に繰り越すこととした。次年度の使用計画として,新型コロナ感染症の状況を鑑みながら,研究者招聘,研究者打ち合わせのための旅費等に当研究費を当てる予定である。
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