2017 Fiscal Year Research-status Report
コンパクト等質空間上の不変なアインシュタイン計量の探究
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16K05130
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂根 由昌 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (00089872)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アインシュタイン計量 / コンパクト単純リー群 / コンパクト等質空間 / Stiefel 多様体 / グレブナー基底 / 一般化された旗多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンパクト等質空間上の不変なアインシュタイン計量についての研究をArvanitoyeorgos、Stathaと共同で行った。コンパクト単純リー群に関しては、SU(n)上にnaturally reductiveでないアインシュタイン計量が存在するかという問題を引き続き考察し、論文にまとめて投稿した。この論文では、SU(n) (n > 5) の場合の森の結果を拡張し、SU(5) の場合にもnaturally reductiveでないアインシュタイン計量の存在を示した。この場合にアインシュタイン計量の存在を示すためには、中心の次元が2次元であることからリッチテンソルの対角線成分以外の成分を考察せねばならいという困難さがある。さらに、複素Stiefel多様体についても、同様の手法により、新しい不変なアインシュタイン計量の存在を示した。 また、一般化された旗多様体を用いたファイバー束としてStiefel多様体を考えることにより、四元数Stiefel多様体上に新しい不変なアインシュタイン計量が存在することを示した。これは一般化された旗多様体の不変な計量のリッチテンソルを利用することにより、Stiefel多様体上のある種の計量のリッチテンソルを計算し、アインシュタイン計量が存在を示すもので、この結果は出版予定の論文となっている。 実Stiefel多様体についても、同様のファイバー束として考察し、新しい不変なアインシュタイン計量が存在することを示した。この成果は、第25回沼津改め静岡研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SU(n)上にnaturally reductiveでないアインシュタイン計量が存在するかという問題を引き続き考察し、論文にまとめて投稿できた。この中で既約空間への分解で重複度がある場合のリッチテンソルを扱う方法を考案できた。 また、一般化された旗多様体を用いたファイバー束としてStiefel多様体を考えることにより、実Stiefel多様体および四元数Stiefel多様体上に新しい不変なアインシュタイン計量が存在することを示せた。
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Strategy for Future Research Activity |
残っているコンパクト単純群の中でSU(4)に対して、naturally reductiveでないアインシュタイン計量が存在するかという問題を考察する。さらに、コンパクト単純群により多くの左不変なアインシュタイン計量の存在を示すために有効なファイバー束を探し、その場合のリッチテンソルの計算を試みる。このための方法の一つとしては、底空間が二つの既約成分に分かれる等質空間に対して、コンパクト単純リー環の分解を考え、左不変なアインシュタイン計量のリッチテンソルを求めることが考えられる。
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Causes of Carryover |
(理由) 2018年3月に国際共同研究者を招聘する予定であったが、都合により来日できなくなった。このため旅費の支出が少なくなった。 (使用計画) 2018年6月にイタリアで開催される国際研究集会に参加し、この旅費にあてる。
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Research Products
(5 results)