2016 Fiscal Year Research-status Report
非退化閉2次微分形式を用いたコンパクト複素等質多様体の研究
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16K05131
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山田 拓身 島根大学, 総合理工学研究科, 准教授 (40403117)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | べき零多様体 / 不変複素構造 / ドルボーコホモロジー群 / ホッジ数 / リー環のコホモロジー / 擬ケーラー構造 / 正則ベクトル場のなすリー環 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンパクトベキ零多様体の不変複素構造とホッジ数の関係について主に研究をおこなった。 以前に、複素ハイゼンベルグ群を実リー群と考え、その上の複数の左不変複素構造を考察し、複素ハイゼンベルグ群から構成されるコンパクトベキ零多様体上の異なる不変複素構造に対して、ホッジ数の和に関する関係式を得ていた。複素ハイゼンベルグ群はA型のルート系から構成できることに着目し、 A型のルート系から系列的に構成できるコンパクトベキ零多様体のホッジ数に関しても同様の結果が成り立つことを示した。また半直積分解が1つ与えられた実リー群をまず複素化し、複素化で得られた複素リー群を実リー群とみなすことで、分解に付随した左不変複素構造を構成する方法を以前に得ていたが、その方法を一般化できることがわかった。従って、半直積分解をもつ実リー群の構成が複素構造の構成において重要となるが、それについてもt-ルート系を用いて系列的に構成できることがわかった。さらに半直積分解をもつ実リー群が作用される部分リー環が可換な場合には、それから構成された不変複素構造をもつコンパクトべき零多様体の各々のホッジ数が、複素化で得られる複素リー群のコホモロジーを用いて計算できることを示した。 さらに離散部分群に関して有理的な不変複素構造をもつコンパクトベキ零多様体が擬ケーラー構造をもつための必要条件を、正則ベクトル場のなすリー環の次元とホッジ数との関係に関する条件式で得られた。また一般化された旗多様体上の擬ケーラー計量の指数と対応するt-ルート系との関連が詳しくわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハイゼンベルグ群から構成されるコンパクトベキ零多様体上のホッジ数の和と不変複素構造に関する関係が、A型ルート系から系列的に構成されるベキ零多様体の場合に一般化できた。またコンパクトベキ零多様体が擬ケーラー構造をもつための必要条件が得られるなど十分な結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、べき零多様体における具体例を参考にし, べき零多様体、可解多様体上の不変複素構造、ホッジ数、非退化閉2次微分形式と正則ベクトル場の関係について中心的に研究をおこなう。
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Causes of Carryover |
海外の研究集会に参加する予定であったが, 例年9月の開催が7月に変更になり、参加できなくなったため旅費の使用額が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究で必要となる研究費は、主に旅費である。次年度においても変わらない。国内等で開催される研究会やセミナーに参加して、 多くの研究者と情報交換を通じて最新の研究成果を収集する。
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Research Products
(6 results)