2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05137
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
高倉 樹 中央大学, 理工学部, 教授 (30268974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 重明 中央大学, 理工学部, 教授 (60166212)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シンプレクティック商 / 余随伴軌道 / 旗多様体 / ウェイト多様体 / 分岐問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書に記したように、コンパクト単純リー群の余随伴軌道の族から直積・商などの操作により定まる空間のトポロジー・幾何についての研究を行った。具体的には、重複度多様体や多重ウェイト多様体のコホモロジー環の構造や位相型の特定について考察を行った。また同時に、上記の空間の代数的・組合せ的対応物である、リー群・リー環の既約表現の族からテンソル積・部分空間などの操作により得られる次数付きベクトル空間の構造についての研究を行った。これは、各種の表現に対する分岐問題と深く関連する。具体的には、ベクトル分割関数や、その連続版であるベクトル体積関数が重要な対象となる。
平成29年度は特に、A型の特殊ベクトル体積関数の微分方程式による特徴付け、およびA型の特殊多重ウェイト多様体の位相型・コホモロジー環について、昨年度までの考察を踏まえて、定理の拡張と証明の見直しを行った。同時に、A3型の二重ウェイト多様体の体積関数とコホモロジー環に関する諸定理の証明の見直しも行った。現在それらの結果を論文にまとめているところである。
さらに昨年度に引き続き、A型の特殊重複度多様体と特殊ウェイト多様体が同型かどうかの問題を考察した。昨年度は大域結晶基底を用いて座標間の間の対応を与えるアプローチを試みたが、今年度はより直接的に、具体的な同相写像の構成に取り組んだ。しかし、当初の予想に反していくつかの困難に直面することになった。例えば、両者に対して、商をとる前の空間を実代数多様体として記述することは可能であるが、その間に自然な写像が存在するかどうかは、現時点では不明である。一方、この問題と旗多様体のグロモフ幅との関連が興味深いということが判明しつつある。派生する問題もいくつかある。引き続き今後の課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画欄に具体的な問題・目標としてとして挙げていたものの内、「(1) 余随伴軌道に付随するシンプレクティック商の同形類の考察」について、昨年度に引き続き、A型の特殊重複度多様体と特殊ウェイト多様体の同型問題を考察した。しかし、当初の予想に反していくつかの困難に直面することになった。例えば、両者に対して、商をとる前の空間を実代数多様体として記述することは可能であるが、その間に自然な写像が存在するかどうかは、現時点では不明である。一方、旗多様体等のグロモフ幅との関連が興味深いという観察を得たので、今後に生かしたい。 また、「(2) (1)の空間の不変量の計算と、その過程に現れる代数的・表現論的・組合せ的構造の考察」については、上記の問題に対する大域結晶基底を用いたアプローチが中断してしまった。(1)の進展を考慮しつつ、再検討したい。 一方、「(3) (1)の空間の部分多様体の考察」については、いまだに目立った進展が得られていない。今後の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であることを意識して、昨年度までの成果を踏まえつつ、「現在までの達成度」に記した具体的な問題・目標(1)(2)(3)について研究を継続する。研究組織内の分担は前年度の通りとする。検討すべき重要な検討項目として、 「特殊重複度多様体と特殊ウェイト多様体間の同型対応」 「分岐問題への大域結晶基底の応用」 等を想定している。 また、これまでに得られた成果の発表とともに、文献・資料や情報の収集を継続して行い、検討項目を随時見直す予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた国内出張が、日程の都合により中止になったため。国内旅費として使用する予定である。
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