2018 Fiscal Year Research-status Report
3次元多様体の基本群が許容する不変順序に関する研究
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16K05149
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
寺垣内 政一 広島大学, 教育学研究科, 教授 (80236984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 不変順序 / 結び目群 / 共役ねじれ元 / 正規生成元 / 3次元多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元球面内の結び目に対して,その補空間の基本群を結び目群とよぶ.結び目群はメリディアンとよばれる幾何的に素性の明らかな元によって正規的に生成される.つまり,メリディアンの正規閉包が結び目群全体に一致する.そのような性質をもつ元を正規生成元とよぶことにする.非自明な結び目群については,メリディアン以外の正規生成元が無限に存在すると予想されており,2橋結び目,トーラス結び目,ケーブル結び目,結び目解消数1双曲結び目については肯定的に解決されている.本年度はプレッツェル結び目のある無限族について,その予想を肯定的に証明した.その議論においては,生成元,関係子がともに2つである表示をもつあるタイプの群が自明であることを示すために,ミラーとシャップの判定法を活用した点が新しい.この結果は論文としてまとめ,すでに国際学術雑誌から出版されている.また,同内容について,日本数学会において講演を行った. 共役ねじれ元が群の自由積に対して,どう振る舞うのか,長年未解決であったが,共同研究によってこの問題を解決した.ねじれ元のない群の有限個の自由積に対して共役ねじれ元が存在するとき,因子であるいずれかの群に共役ねじれ元が存在することを,共役ねじれ元の安定交換子長に対して上界を与えることで証明することができた.この成果は論文としてまとめ,すでに国際学術雑誌に受理されている.また,次年度6月にメキシコで開催される国際会議に招待を受けている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,1本の単著論文と3本の共著論文が全て国際学術雑誌に受理された.また,国内の学会,研究集会において2回の成果発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,結び目群の正規生成元や共役ねじれ元の構成,さらに結び目の巡回被覆空間の基本群に含まれる共役ねじれ元の構成を中心に研究を進める.
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外渡航が実現しなかったために次年度使用額が生じた.2019年度はすでにメキシコでの国際研究集会に招待を受けており,最終年度において使用する予定である.
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Research Products
(6 results)