2017 Fiscal Year Research-status Report
曲面の写像類群における線型性の視覚化と関連する位相幾何
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16K05154
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
笠原 泰 高知工科大学, 共通教育教室, 准教授 (80299370)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 写像類群 / 線型表現 / 曲線加群 / Johnson filtration / 幾何的交叉 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に引き続き, 研究代表者が発見した曲面の写像類群における線型性の視覚化の観点から生じる問題のうち, 主に曲線加群の基礎とその応用, ならびに Johnson filtration と幾何的交叉の関係について, 位相幾何的に研究した. 詳細は以下の通り. 1. 曲線加群の基礎理論に関して: これまでに知られている唯一のスケイン型曲線加群である, Luoの表現の代数的性質を検討した. 特にその有限次元性の起源と, 或る種の加群のネーター性質との関連を着想し, 当該理論の検討を開始した. 2. Johnson filtration と幾何的交叉の関係を明らかにするべく平成28年度に得られた, 基本群の冪零商への作用が曲線の冪零商における共役類を定めないようなデーンツイストの例が, 実はKunoの意味での一般化されたデーンツイストとして見つかっているのみで, 通常のデーンツイストの場合には, そのような例が存在しない余地のあることが判明した. そこで, 関連するKawazumi-Kunoによるデーンツイストの対数理論など, 関連する基礎理論の(再)検討を開始した. 3. その他, 曲面の写像類群について, 量子射影表現の性質, 低次元の複素線型表現の分類など, 関連する位相幾何的問題を検討した. 特に, 種数gのコンパクト有向曲面の写像類群の2g+1次元複素線型表現の, 共役を法とする分類は種数gが十分大きい場合に完了させた. 結果は, 曲面の或るねじれコホモロジーの言葉を用いて記述される(現在論文を準備中).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は, 数学理論についての基礎研究で, その対象は本質的に予測不可能なものであり, 試行錯誤により知見を積み重ねてゆく性質のものである. その試行錯誤の概要は, 「研究実績の概要」に述べた通りであるが, そうした中, 特に通常の範囲で考えたデーンツイストに係わる単純閉曲線の, 基本群の巾零商への作用は単純閉曲線自身の巾零商における共役類を定める余地の有ることを明らかにすることができた. また, これまでの試行錯誤の結果, 種数gが十分大きい場合の, 2g+1次元線型表現の共役を法とした分類を, 遂に完了することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は平成29年度までの研究結果を踏まえ, 次の各研究項目について, 必要に応じて変更しながら継続発展させる. 1. 曲線加群の基礎理論の整備. 2. Johnson filtration と幾何的交叉の定性的研究. 3. 関連する諸理論の検討 特に,Johnson filtrationと幾何的交叉の関係については, デーンツイストの対数理論, ならびにその発展形を(再)検討しつつ, assymptotic behavior の決定を目指す.
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Causes of Carryover |
(理由) 今年度海外の研究者と研究打ち合わせを行うための旅費を確保していたが, 先方との都合が会わず, 実施できなかった. (使用計画) 改めて, 日程を調節し, 件の海外研究者との研究打ち合わせを実施する.
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