2017 Fiscal Year Research-status Report
Reidemeister torsionに関するJohnson理論の深化
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16K05161
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
北野 晃朗 創価大学, 理工学部, 教授 (90272658)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Reidemeister torsion / linear representation / fundamental group / SL(2,C) / Brieskorn manifold / homology 3-sphere / figure-eight knot |
Outline of Annual Research Achievements |
1980年代にDennis Johnsonにより提唱された3次元多様体のSL(2;C)-表現のReidemeister torsion、およびそれらを零点にもつtorsion多項式について研究を続けている。前年度までにBrieskornホモロジー球面の場合や8の字結び目をDehn手術して得られるホモロジー球面の場合の具体的な値を表す公式やTchebychev多項式を用いたtorsion多項式を表す公式について研究を進めてきた。 当該年度においてはそれらから引き続き以下の事柄について研究を進めた。 1。トーラス結び目や8の字結び目からスプライスと呼ばれる操作から得られるホモロジー球面の場合に、取り得るReidemeister torsionの値は有限個であることを証明した。 2。Brieskornホモロジー球面に限った場合にこれらが完全な不変量であることを証明した。 2に関しては、より具体的には以下のような主張である。(p,q,r), (p',q',r')の2つの互いに素な整数の組で与えられるBrieskornホモロジー球面に対して、もしもSL(2;C)-表現のReidemeister torsionの値の集合が一致しているならば, (p,q,r)=(p',q',r')が成立する。ここで、torsion多項式が一致をすると零点であるReidemeister torsionの値が一致をすることに注意する。この証明はBrieskornホモロジー球面の既約表現のReidemeister torsionが三角関数を用いて具体的に書き下されていることから可能となる。 加えて、Brieskornホモロジー球面や8の字結び目をDehn手術して得られるいくつかの具体例において、torsion多項式の定数項の値が本質的にSL(2;C)-Casson不変量と一致していることを確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、SL(2;C)-表現の場合のReidemeister torsionの多項式に関しては、Briekornホモロジー球面の場合, あるいは8の字結び目に沿ったDehn手術で得られるホモロジー球面の場合から、さらにこれらを組み合わせたトーラス結び目や8の字結び目のスプライシングで得られる多様体などかなり具体的に計算は進んでいる。 またtorsion多項式の定数項が本質的にSL(2;C)-Casson不変量と一致する例が見つかっている。また反例は今のところ見つかっていない。これに関しては当初においては予想されていなかった事実であり、新たな展開も予想できる状況になってきている。これらから総合的に判断しておおむね進捗状況は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
SL(2;C)-Casson不変量との関係についてはこれまであまり研究をしていなかったため、今後は重点的にこれに関して考察を行う。特にSL(2;C)-character varietyの構造の理解が必要であると思われるので、これに関してはAix-Marseille大学のMichel Boileau氏と情報を交換しながら進めていくことを考える。また、Clermont Auvergne大学のMichael Heusner氏は結び目のcharacter varietyの専門家であり、2018年度に日本に招聘する予定であるので、彼との情報交換を積極的に行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
海外出張において、先方からの滞在費の負担があり、必要額が減少したためと情報収集のための国内出張を取りやめたためである。今年度の海外出張において使用する予定である。
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